研究課題/領域番号 |
15K11890
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
脇坂 浩 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80365189)
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研究分担者 |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感染制御 / インフルエンザ / 高齢者介護施設 / 感染伝播動態 / 口腔ケア |
研究実績の概要 |
高齢者介護施設における感染制御の実際を明らかにするため、東海3県の介護老人保健施設と特別養護老人ホームに、感染制御に関する無記名自己記入式質問紙調査を実施した。データ収集期間は、2017年1月~2月。質問紙調査では、管理者229名(回答率22.6%)、職員1,444人(回答率14.3%)から調査協力が得られた。入所者・職員のインフルエンザワクチンの接種率90%以上とした施設は、9割以上を認めたが、入所者の肺炎球菌ワクチン接種率は90%未満という施設が3~4割であった。職員において「標準予防策は知っているが、内容を理解していない」「標準予防策について聞いたことがなく、内容が全くわからない」と回答した者が約4割を認めた。 高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染伝播動態の詳細な解析を行った。データ収集期間は、2017年1月~6月。21施設より調査協力が得られ、アウトブレイクは計25事例となった。入所者の罹患率は平均25.3%、職員の罹患率は平均9.7%を認め、入所者の入院率は平均8.4%、死亡率は平均1.2%であった。事例の流行期間は平均15.4日、発症数は平均1.59人/日であった。初発の発症者は、職員が84.0%であった。本調査では、発症者や治療等を記した経時的記録は2事例(8.0%)しか認めなかった。 以上の調査結果を分析して、最終年度(2018年度)に報告する予定である。 介護施設で実践されている口腔ケアについて、感染予防の視点から文献レビューを行った。口腔ケアによる感染予防として、口腔外科の術後感染予防、高齢者の呼吸器感染予防に効果があることが明らかになった。本研究成果を、感染管理看護研究会誌に投稿し、第7巻1号(2018年3月発刊)に掲載された。 研究成果を参考に、三重県介護労働安定センターが開催する研修で、感染制御の研修を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者介護施設における感染制御の実態調査とインフルエンザの感染伝播動態の調査を、2017年1月~7月にかけて同時に展開することができた。それ以降、調査結果の分析を行っているので、最終年度(2018年度)に、学術学会において発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者介護施設における感染制御の実態調査とインフルエンザの感染伝播動態の調査の結果を分析して、学術集会の一般演題で発表を行う(日本看護研究学会学術集会(2018年度開催)に現在エントリー中)。発表後に検討を重ね、論文を投稿予定である。 また、これらの研究成果をもとに、所属大学の地域貢献事業として、高齢者介護施設における感染制御の研修を企画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者介護施設における感染制御の実態調査とインフルエンザの感染伝播動態の調査は実施できたが、分析を終えることができなかったため、次年度の使用額が生じた。 使用計画として、2017年度の調査結果の分析(統計解析など)、学術集会での発表、論文の作成と投稿、2017年度調査結果で見出された感染制御のツールの検証(調査)にあてる予定である。
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