高齢者介護施設職員のための感染制御専門家教育課程の構築に関する知見を得るために、新人看護師における感染理の実践場面での困難感と対処状況について研究を行った。本研究では、新人看護師が困難を感じた感染管理の場面とその対処状況を明らかにするために、新人看護職員研修ガイドライン改訂版に基づいた新人教育を行っているA総合病院(443床)において看護師経験2年目の看護師16名にグループインタビューを行った。対象者の発言内容を逐語録にしてデータとし、内容分析を実施した。看護師が携わる感染管理の14場面中10場面、【手指衛生】【個人防護具の選択】【呼吸器衛生/咳エチケット】【環境の維持管理】【安全な注射手技・与薬】【感染経路別予防策】【無菌操作の実施】【洗浄・消毒・滅菌の適切な選択】【医療廃棄物規定に沿った適切な取り扱い】【その他】より困難感を示す28カテゴリーが抽出された。また困難感の対処法として、先輩に相談する・行動を見るなど8項目が抽出された。新人看護師が感染管理の困難感に対処できるように、先輩看護師に気軽に相談しやすい関係や雰囲気づくりが必要と示唆された。調査は2018年8月に実施し、成果報告を2019年12月第39回日本看護科学学会学術集会一般演題で発表を行った。そのあと、分析を重ね、論文「医療施設における新人看護師が困難を感じた感染管理とその対処法について」を感染管理看護研究会誌に投稿し受理され、第9巻1号(2020年9月発刊予定)に掲載予定となった。 研究成果を参考に、三重県立看護大学地域交流センター事業、伊勢市社会福祉協議会、特定非営利活動法人医療・福祉事業者サポート機構シニアライフ社会福祉士事務所と連携して高齢者介護施設の職員を対象に感染制御の研修を8回実施した。
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