研究課題/領域番号 |
15K11891
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
瀧尻 明子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (70382249)
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研究分担者 |
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00295768)
川口 貞親 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (00295776) [辞退]
植本 雅治 神戸市看護大学, 看護学部, 名誉教授 (90176644)
三浦 藍 人間環境大学, 看護学部, 講師 (10438252)
野上 恵美 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (90782037)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在日ベトナム人 / 子ども / 2世3世 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
多くの困難やストレスを抱えると推測される在日ベトナム人の子どものメンタルヘルスの現状と取り巻く環境の影響を明らかにすることを目的として本研究を行った。 今回、構造的面接調査に協力した在日ベトナム人の子ども30名のうち、90%が日本生まれであり、40%は自分が日本人であると自認していた。家族背景としては、離婚や出稼ぎのために父親が同居していない子どもが40%と高率であるのが特徴的であった。日常生活での言葉に不自由を感じている子どもはいなかったが、家庭内での親とのコミュニケーションには問題を抱えている子どもが多かった。特に母親との会話で主にベトナム語を使う子どもは日本語の子どもより不安ストレス得点や抑うつ得点が高く、学習・自己価値コンピテンスは低いという結果であった。また、日本語とベトナム語の使用頻度が半々であると答えた40%の子どもは、日越語どちらかの優勢言語を持つ子どもよりも自己価値コンピテンスが低かった。 母親が話していることをすべては理解できないと答えた子どもは26.7%、母親に自分の言いたいことがすべて伝わっていると認識できない子どもは40%であり、母親との十分なコミュニケーションが難しい子どもたちの自己価値は有意に低かった。特に自分のことを分かってもらえないと感じている子どもは、学習・社会コンピテンスいずれも有意に低く、抑うつ得点は有意に高い結果となった。親子間のコミュニケーションの乖離が在日ベトナム人の子どもたちのメンタルヘルスへの影響因子の一つと考える。 この結果を、第25回多文化間精神医学会学術集会にて演題発表し、他の研究者らと意見を交わし、情報交換を行った。また、学習支援教室や母語教室の支援者および、これらを利用する子どもの保護者にこの結果を提示し、母語を維持すること、大人が日本語を学ぶことの重要性を伝える場を設けた。
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