研究課題/領域番号 |
15K11892
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大川 聡子 大阪府立大学, 看護学研究科, 准教授 (90364033)
|
研究分担者 |
安本 理抄 大阪府立大学, 看護学研究科, 助教 (00733833)
根来 佐由美 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (50508794)
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (70264827)
和泉 京子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (80285329)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 若年母親 / 妊娠期 / アセスメント / 保健師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、若年母親の実態並びにニーズ調査を踏まえて、保健師としての専門性を生かした妊娠期からの継続家庭訪問プログラムを開発することである。 若年母親の特徴と、その特徴を踏まえた支援の内容を明らかにするために、2015年度に出生届を提出した母親111名を支援した保健師を対象にアンケート調査を実施した。結果を18歳未満と18歳以上の母親とで比較した結果、18歳未満の母親は、両親が離婚している割合、パートナーがいない割合、予定した妊娠でない者の割合、妊娠時に「不安である」と答えた者の割合が有意に高かった。また4か月児健診の未受診者も有意に高かった。このことから、18歳未満の母親はパートナーや家族からの支援が乏しく、特に丁寧なかかわりが必要であるケースであることが示された。こうした特徴を持つ18歳未満の母親に対する保健師の支援として、妊娠中から「できていることをほめる」ことを行っている割合が18歳以上の母親と比較して高かった。 一方、妊娠後期に電話・面接・訪問していたケース、入院中・産後に訪問したケース、若年母親グループを紹介したケースは、母親側からコンタクトのある者の割合が有意に高かった。このことから、妊娠中からの関わりが出産後の母親との信頼関係の構築に寄与することが示唆された。 111名のアンケートから特徴的な事例13件を抽出し、その事例を支援した保健師を対象にインタビュー調査を実施した。対象者は14名であった。インタビューの結果から、家族からの防御や生活基盤の不安定さが対象者との接触を阻害すること、対象者と会えない場合には〈医療機関と伴走して妊娠経過を把握する〉ことや、対象者に〈受け入れてもらえるタイミングを計って関わる〉等の保健師の技術が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度中に実際のプログラム構築までは至らなかったが、アンケートやインタビュー実施から、若年母親の実態をより詳細に把握することができた。これらの内容を基に、具体的なプログラムの構築を進めていく。また研究実施過程で若年母親を支援する保健師の力量形成も不可欠であると感じたため、プログラム実施と合わせて保健師の力量形成に資する研修会を実施していきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度に実施したインタビュー・アンケート調査から、今後の課題であると考えられた内容は、①妊娠初期の家族アセスメントスキルを高める、②ケース引継ぎが生じた場合の情報共有のあり方を検討する、の2点であった。れらの内容を踏まえ、保健師の力量形成につながる妊娠期からの支援システムの構築、家族アセスメントスキルを高めるための研修等を実施する。家庭訪問プログラムに関しては、主に18歳未満の母親を対象に妊娠期からの支援に重点を置いた内容を、インタビュー・アンケートの考察を踏まえて検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アンケートの調査項目作成、インタビューの実施・分析に時間を要し、家庭訪問プログラム構築に関する考察が十分できていなかったため、プログラム実施に関する費用を使用することができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
来年度以降、家庭訪問プログラム実施の際に使用予定である。可能であれば共同研究者であるアメリカ・セントルイス大学教授 Lee Smithbattle氏を日本に招へいし、家庭訪問プログラムに関する情報交換ができるよう検討中である。
|