研究課題/領域番号 |
15K11893
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
塩見 美抄 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (10362766)
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研究分担者 |
吉岡 京子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00708951)
牛尾 裕子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (00275322)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護学 / 地域アセスメント / モデル開発 / 現任教育 |
研究実績の概要 |
1.保健師の地域アセスメントに関する先行研究調査: モデル開発に有用な、地域アセスメントに関する理論・モデル・方法を明らかにすることを目的とし、検索サイト「医学中央雑誌」を用いて、2005年から2015年に発表された国内文献の遡及調査を実施した。検索用語は、「地域アセスメント(地域診断)」と「保健師」であった。原著に絞った結果、74文献が抽出され、論文の主題、地域アセスメントを示す用語とその定義、使用されている理論・モデル・方法、明らかにされている地域アセスメントの課題や特徴、の観点で分析した。結果は、国際学会1件で発表した。今後論文投稿1件を予定している。 国外文献については、論文数が膨大で検索ソフトによる有用な文献の絞り込みが困難であったため、地域・公衆衛生看護に関する国内外のテキストを比較することを通して文献検討した。国外10誌と国内8誌を比較し、国内文献検討と同様の観点で分析した結果、Community as Partner Modelのように、国内外で共通して用いられているモデルや、それぞれの教育の特徴が明らかになった。今後、国際学会1件で発表し、論文投稿1件を予定している。 2.モデル案作成のためのインタビュー調査: 地域アセスメントのモデル化に向け、熟達した保健師の看護実践に内在し、実践に並行して地域アセスメントが発展・統合する様相を明らかにすることを目的に、熟達した保健師への半構成による個別インタビュー調査を実施した。インタビューガイドは、理論開発に関する知見が豊富な海外研究者のコンサルテーションを受けて、加筆・修正した。現段階で、4名のインタビュー調査を実施し、グラウンテッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行っている。今後、インタビューガイドを洗練し、理論的サンプリングによる更なるインタビュー調査を実施した上で、モデル案を完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、モデル案の作成を当該年度中に完成させる予定であったが、教材の基となるモデルの開発は本研究の主軸であり、熟慮を重ねた有用なモデルを開発する必要がある。そこで、モデルの基となるデータの質や分析の妥当性の保証のため、インタビューガイドの作成及びインタビュー結果の分析に、当初計画よりも多くの時間を要し、モデル案作成に至るまでの期間を半年間延長するよう、計画を修正した。 また、当該年度に予定していた新任期・中堅期保健師の実態調査について、モデル案作成のためのインタビュー調査結果と関連させて調査項目を設定した方が、その後の教材開発に有益なデータが得られるため、次年度に実施することに計画を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
1.看護実践並行型地域アセスメントモデルの開発(平成28年10月まで) 前年度に継続して、グラウンテッド・セオリー・アプローチを用い、熟達した保健師へのインタビュー調査と分析を行い、データの理論的飽和を目指す。分析結果は、当該研究手法への知見が豊富な研究者によるスーパーバイズを受けると共に、インタビュー協力者の確認を受け、結果の妥当性を高める。インタビュー結果を基に理論を生成し、モデル案を完成させる。 2.新任期・中堅期保健師を対象とした地域アセスメントの実態調査(平成28年8月~12月) 実態調査は平成27年度実施予定であったが、前述のインタビュー調査結果と関連させて調査項目を設定する必要があったため、平成28年度に実施する計画に修正した。そのための経費は、平成27年度から繰り越す。 3.モデルを使った新任期・中堅期保健師向け地域アセスメント教材の開発とモデル・教材の検証(平成28年度10月~平成29年度) 研究メンバー及び保健師の協力者を募り、ワーキングチームを組成して、新任期・中堅期保健師向け地域アセスメント教材案を作成する。並行して、モデルと教材評価のための評価ツールを開発する。以上は、平成28年度中に実施する。平成29年度に、教材を用いた教育の試行と、モデル・教材の評価検証をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル案作成のためのインタビュー調査の実施に、当初計画以上の期間を要し、調査が終了していないため。また、当該年度に予定をしていた、新任期・中堅期保健師の地域アセスメントに関する実態調査を、関連する研究内容の進捗状況に合わせて次年度に実施することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は全額、次年度に実施するインタビュー調査及び実態調査に係る費用として使用する。
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