本研究は、養護教諭のレジリエンス尺度の開発を目指し、平成27年~29年度にかけて、先行研究及び熟練護教諭への面接調査より抽出したレジリエンス要因分類整理して54項目の予備調査票を作成し、養護教諭25名に実施した。その結果を因子分析し、さらに研究者及び現職養護教諭に検討を求め、4因子28項目を本調査に用いる尺度項目として選出した。 研究最終年度は、養護教諭レジリエンス尺度の作成を目的に、予備調査により抽出された養護教諭レジリエンス4因子28項目の本調査を実施した。平成30年1月~2月にかけて全国公立小・中・高等学校養護教諭1000名を対象に、層別無作為抽出による無記名自記式質問紙調査を郵送法にて行った。調査項目は(1)予備調査より選出したレジリエンス28項目(2)自尊感情尺度(山本・松井・山城 1982)10項目を合わせた38項目について、5件法にて回答を求めたところ、501名より回答を得た。回収率50.1% 因子分析の結果『自己肯定感』『援助志向性』『向上への意欲』『感情調整』『楽観性』の5因子が抽出された。これら養護教諭のレジリエンスに関する因子構造を教師レジリエンス尺度と比べると、『向上への意欲』や『楽観性』は教師レジリエンスの同僚性、モデル、楽観性、挑戦、問題解決などと概ね同類とみられたがが、『自己肯定感』『援助指向性』『感情調整』においては、養護教諭特有の要因があることが示唆された。また、5因子20項目のα係数は20項目全体で、α=0.846となった。第1因子α=0.681、第5因子α=0.618のため、今後、この2項目についての検討の必要はあるが、養護教諭のメンタルヘルス支援に向けた本尺度の活用の可能性が示された。
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