研究課題/領域番号 |
15K11899
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
矢島 正栄 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (40310247)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発達障害 / 保健師 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、発達障害者支援専門機関の相談担当者が行う専門相談、支援技術の抽出と支援プロセスの構造化を目的とし、発達障害者支援センター等4か所を対象に、相談従事者7名からの聞き取り調査により、相談・支援技術の類型化を試みた。また特徴的な相談事例の支援経過の詳細を分析し、支援プロセスを明らかにした。支援技術は、発達障害者本人および家族との関係構築、発達障害の特性の把握・整理、発達障害者を取り巻く環境の把握・整理、発達障害者本人および家族のニーズ把握、発達障害者および家族の課題解決能力向上の支援、家族支援、支援機関の役割調整と支援の一貫性の確保、発達段階や環境の変化に応じた支援態勢の調整、支援者の支援能力向上のための支援、将来を見据えた支援者の拡大等に関する技術が抽出された。支援プロセスの分析からは、家族支援、発達障害者および家族の変化に寄り添った継続支援の重要性が示唆された。また、市町村保健師に対する役割期待として、対人関係の障害に配慮した市町村職員による持続的な支援態勢の保障、幼児期の発達障害児の保護者に対する市町村保健師の子育て支援技術の向上等が導かれた。 さらに、調査対象機関が管轄する市町村の保健師に対しても聞き取り調査を行い、発達障害者支援専門機関と住民に身近な市町村の連携の現状と双方からみた課題を整理した。その結果、発達障害者支援の各種事業等における連携を通して発達障害の詳細な理解、予測される課題、障害の特性に応じた具体的支援技術等に関する関係者の認識の共有が繰り返し図られることの有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、発達障害者支援専門機関における専門相談・支援の抽出と支援プロセスの構造化を早期に進めるとともに、これと並行して発達障害者支援専門機関と市町村保健センターの保健師の双方に対する役割期待と連携の課題に関するフォーカスグループインタビューを実施する予定であった。専門相談・支援の抽出と支援プロセスの構造化については、予定どおり進行している。しかし、フォーカスグループインタビューについては、協力機関の確保と日程調整に時間を要したため、準備の段階で年度を終えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、発達障害者支援専門機関と市町村保健センターの保健師の双方に対する役割期待と連携の課題に関するフォーカスグループインタビューを実施する。さらに、平成28年度の研究結果およびフォーカスグループインタビューから導かれる結果を基に、発達障害者支援専門機関と市町村保健センター保健師の相談支援の実態、双方に対する役割期待および連携のあり方と課題に関する意識を全国の発達障害者支援専門機関および市町村を対象とする郵送調査により明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたフォーカスグループインタビューの実施に至らず、ビデオカメラ、協力者謝礼、旅費、録音データ入力委託費、および研究補助者謝金の支出がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今回生じた次年度使用額は、予定の使途で平成29年度に使用する。平成29年度に使用する研究費はフォーカスグループインタビューに係るビデオカメラ、協力者謝礼・旅費、録音データ入力委託費、および研究補助者謝金、郵送調査に係る調査票印刷費、郵送費、データ入力委託費、および研究補助者謝金等である。
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