研究課題/領域番号 |
15K11900
|
研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
佐藤 美由紀 神奈川工科大学, 看護学部, 准教授 (80550318)
|
研究分担者 |
芳賀 博 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (00132902)
齊藤 恭平 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (40279443)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 地域高齢者 / 社会参加 / ヘルスプロモーション / 近隣ネットワーク / 効果評価 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、10年間継続した住民主体による交流事業の評価として以下を実施した。 ①平成27年度に実施した追跡調査の結果を、交流事業の参加群と非参加群に分けて、反復測定分散分析により心身の健康への効果を検討した。その結果Y地区では、地域活動、手段的自立、精神的活力の交互作用が有意であり、非参加群よりも参加群の方が向上していた。N地区では、参加群は地域活動が増加し、ボランテイア活動と社会的役割の低下が抑制されていた。 ②介入地区(Y地区とN地区)において調査結果報告会を開催した。Y地区は住民14人、N地区は住民23人が参加した。結果報告会終了後に、調査結果の資料は自治会を通じて各地区の住民に回覧した。 ③平成28年度に介入したY地区とN地区それぞれの交流事業の効果と問題点に関するフォーカス・グループ・インタビューのデータを分析した。フォーカス・グループ・インタビューは、Y地区とN地区で交流事業の運営に携わっているキーパーソン16名(Y地区10人、N地区6人)を対象に実施した。取り組みから10年が経過した交流事業の効果として、≪心身の健康≫≪充実感≫≪社会参加・社会関係の広がり≫≪夫婦円満≫≪高齢者の見守り≫の5カテゴリー抽出された。交流事業の問題点として、≪地域住民の理解不足≫≪参加者の拡大≫≪住民の協働により楽しく継続≫≪運営体制の限界≫≪地区高齢者全体の見守り≫≪他地区への拡大≫≪ニーズに応じたサポート≫の6カテゴリーが抽出された。 10年間住民主体により継続した交流事業は、社会参加、心身の健康に効果があるとともに、地域社会における高齢者の見守りを促進することが示唆された。交流事業の問題として、運営に携っている住民の高齢化が進み、運営体制の限界が迫っていることが考えられた。住民主体をささえるしくみづくりが急務である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画を変更し、平成29年度に実施予定であったフォーカス・グループ・インタビューを平成28年度に実施した。平成28年度に実施予定であった介護保険データの分析は平成29年度に実施予定であるが、研究の進捗に問題はない。
|
今後の研究の推進方策 |
行政や研究フィールドとの関係は良好であり、協力を得ながら実施できている。介護保険担当課との打ち合わせも完了しており、平成29年度に研究を遂行する上での問題点は特にない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の当初計画は介護保険データの分析であったが、今金町の希望により平成29年度に予定していた地域活動の効果と課題についてのグループ・インタビューを平成28年度に実施した。そのため、介護保険データ分析に関する打ち合わせのための旅費として次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に実施する介護保険データ分析のための旅費として使用する予定である。
|