研究課題/領域番号 |
15K11901
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大木 幸子 杏林大学, 保健学部, 教授 (50453519)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 行政保健師 / 人材育成 / キャリアラダー / 専門技術 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、新任期・中堅前期の保健師に獲得が期待される能力について文献及び資料の収集を行った。その結果を踏まえ、行政での経験が20年以上あり、人材育成を担う立場にある保健師3グループ(関東甲信越グループ10名、中国四国グループ9名、関東グループ4名)に対しグループインタビューを行った。インタビューデータは逐語録におこし、新任期及び中堅前期のキャリアラダーを進むにあたって求められる専門技術を抽出した。 新任期で抽出された技術は、以下のとおりであった。すなわち、「家族を一つの単位として家族全体を捉える」、「個人と家族を家族の生活史という時間軸をとおして捉える」、「個別支援において関係者と協働し、他の個別支援にも発展する信頼関係を形成する」、「個別支援の過程において継続的に支援を評価する」、「個別支援でのその後の経過や結果を自分で確認し評価する」、「個別支援の過程で得た生活者の視点で地域をアセスメントする」、「地域の情報から個別支援での対象者と家族の生活課題をアセスメントする」、「個別支援や業をとおして自分の担当地区の課題を捉える」である。 中堅前期で抽出された能力は、以下のとおりである。すなわち、「個別支援の課題から地域の課題をアセスメントする」、「地域課題の解決のために戦略的に地域の関係者と協働する」、「保健事業が地域の課題の解決策となっているかを評価し、改善方策を考える」、「効果的に機能していない社会資源の改善のためにどうしたらよいかを踏み込んで考える」、「事業化や施策化にあたって地域のネットワークを活用する」、「施策化のために調整するべき組織内部署、地域の関係機関を挙げる」、「地区組織と協働において住民主体となるよう支援する」である。 これらの結果から、新任期・中堅前期及び指導者に対し、新任期・中堅前期に期待される実践応力項目の到達度に関する質問紙調査を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成27年度に新任期・中堅前期及び指導者に対し、新任期・中堅前期に期待される実践応力項目の到達度に関する質問紙調査を実施予定であった。しかし文献・資料での整理や研究者チームでの検討から、研修教材の開発という本研究の目的のためには、既存の資料で示されている実践能力より下位の行動レベルでの技術について着目することが求められると判断した。そのために、まず新任期・中堅前期に獲得が困難な技術について、面接調査を実施し、その結果から質問紙調査を検討することとした。そのため研究の振興が全体にやや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、新任期・中堅期及び人材育成担当保健師への質問紙調査を実施し、強化すべき能力・技術を明確化し、それらのうちケースメソッド教材とすべき技術を検討する予定である。また平成29年度にかけて、ケースメソッド教材のための事例収集を行政の保健師への聞き取り調査をとおして実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度にインタビュー調査を質問紙調査のための一次調査として実施し、次年度に質問紙調査を実施することとしたため、当該年度の使用額が減額し、次年度に使用予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
全国の行政保健師への質問紙調査の実施を予定している。
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