研究課題/領域番号 |
15K11901
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大木 幸子 杏林大学, 保健学部, 教授 (50453519)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保健師 / 人材育成 / 実践技術 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、前年度に実施した人材育成担当保健師へのインタビュー結果を基に、10年目までの保健師及び人材育成担当保健師への新任期・中堅前期に期待する実践技術の到達度に関する質問紙調査を実施した。調査対象者は57自治体の10年目までの保健師409名、人材育成担当保健師228名で、回収数はそれぞれ150部(36.7%)、123部(54.4%)であった。 質問紙調査は現在分析中であるが、人材育成担当保健師調査の新任期、中堅期に強化したい技術に関する自由記述を分析した。新任期は個別支援技術では「信頼関係形成の力」「自分と異なる生活体験の対象者を受け止める力」「家族アセスメント」「家族調整技術」であった。また「個別支援から集団支援につなげる技術」「個別支援から地域の課題を予測する技術」が示された。また「地域への責任性」「予防の視点」や「人と向き合う力」「リフレクションの力」「周囲に相談する力」など基盤の力の獲得も示された。 中堅期では、個別支援技術は「かかわり続ける力」「潜在的問題の予測」「チームマネジメント」、集団支援技術では「グループダイナミクスを活用する技術」「個別支援と集団支援を行ったり来たりする視点と技術」、地域支援では「地区組織活動の技術」「住民とのパートナーシップの形成」「関係機関と協働した地域診断」であった。さらに「個別支援と集団支援を行き来する視点」「地域の課題を踏まえた事業の評価」が挙げられた。これらの基盤となる「保健師としての信念」「自己啓発に取り組む力」などが挙げられた。 前年度のインタビュー調査と本調査の結果から、個別支援、集団支援、地域支援、事業化・施策化という単独の技術項目のみではなく、それらの技術を連動せる技術への強化が期待されていることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新任期・中堅期に強化が期待される実践技術項目をについて当初の研究計画より詳細な下位項目を明らかにするために、初年度に当初計画していなかったインタビュー調査を入れたことで、全体にやや研究計画の進行が遅れる結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に実施した調査結果の分析結果から、ケースメソッド教材で焦点化する技術を絞り、教材作成のための事例収集を行政の保健師への聞き取り調査をとおして実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画よりやや遅れていることで、支出額が当初予定より少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度で遅れている教材開発のためのインタビュー調査や班会議を実施することで使用予定である。
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