研究課題/領域番号 |
15K11902
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
大沼 久美子 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (00581216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 学校保健 / ヒヤリ・ハット |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学校において養護教諭が経験したアレルギー症状を呈した「ヒヤリ・ハット」事例の実態とその関連要因を明らかすることであり、特に以下の3点に着目している。1点目は、アレルギー既往のない又は軽症で学校が把握していない子供が、学校において発症する事例について、その発症年齢、時期、場面、原因物質、関連要因、発症時の対応を明らかにする、2点目は、アレルギー既往がありすでに学校の管理下にある子供の事例についてその関連要因を明らかにする、3点目は、アレルギーに関連する「ヒヤリ・ハット」事例の未然防止策を検討することである。 平成28年度は、前年度に実施した全国調査の結果をふまえ、アレルギーに関連する「ヒヤリ・ハット」事例の中でも、食物アレルギーについてのヒヤリ・ハット事例を未然に防ぐための方策について検討した。すべての子供にアレルギーに対する知識を身につけさせることが重要であることが示唆され、小学生を対象とした「食物アレルギーってなあに」のDVDアニメ教材を開発した。アニメ教材の開発にあたっては、小学校に勤務する経験年数が異なる3名の養護教諭に対しインタビュー調査を行い、「大人に聞く」「みんなで知る」「みんなで守る」の3点を習得させることをねらいとしたDVD教材とし、養護教諭が多数参加する学会において発表し、希望者にはDVD教材を配付するなどした。今後は作成したDVD教材が学校で行う保健教育等で活かされるよう、更なる普及啓発を図ると共に、本研究の成果を論文として公表することが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、学校において養護教諭が経験したアレルギー症状を呈した「ヒヤリ・ハット」事例の実態とその関連要因を明らかすることであり、特に以下の3点に着目した。 1点目は、アレルギー既往のない又は軽症で学校が把握していない子供が学校において発症する事例である。発症年齢は、小学校高学年(10歳程度)から中学、高校にかけて増加傾向をしました。発症場面は、昼食後に発症することが多い。しかし登校後の部活動の朝練習や放課後・休日の部活動時、下校時にも発症していた。原因物質は特定できないことが多く、関連要因としては、発症している状態がアレルギーと気づかれず、対応に戸惑ったり対応に遅れが出たりしてしまう実態が明らかとなった。 2点目のアレルギー既往があり、すでに学校の管理下にある子供の事例については、学校給食やお弁当の誤食や誤配などの社会的要因や、少しくらい平気、食べたいから食べてしまったなどの個人的な要因が示唆された。 3点目のアレルギーに関連する「ヒヤリ・ハット」事例の未然防止策としては、学校現場ではアレルギー症状は既往の有無に関わらずすべての子供に起こると想定した上で対策を講じることが求められる。アレルギー症状の理解やアレルゲンとなりうる食物の理解、アレルギー症状やアナフィラキシー症状が起きたときの対応等、アレルギーに対するリテラシーを高めることが重要である。これらをふまえ、学校で起こりうる事例を取り上げ、アニメ教材を開発した。これらを学校において子供の保健教育に活かすと共に教職員の校内研修や保護者にも活かすことによりアレルギー症状の早期発見・早期対応ができるようにすることが求められる。
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今後の研究の推進方策 |
得られた結果を論文として公表することが課題である。また、開発したDVD教材を保健教育に活かし、DVD教材の有効性を検証することも課題である。
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