最終年度は以下の①から④を遂行した。 ①前年9月から11月に実施したインタビュー調査結果を逐語録にまとめ、特定保健指導と介護予防との連携に関するグッドプラクティス、および連携を進める上での課題について質的帰納的に分析した。分析過程では、研究者間でディスカッションを重ね、妥当性の確保を行った。 ②分析の結果、介護予防との連携につながる保健師のグッドプラクティスには、<生活習慣病予防対策を介護予防対策に組み込んでいる>などの《日常業務》、<ケアマネとの連携は顔を合わせることからはじめる>などの《コーディネート》、<国保と介護は重度の要介護状態の発生抑制を共通目標にしている>などの《共通認識》の3カテゴリーが抽出された。一方、介護予防との連携に関する課題として、<年齢や財源等の制度的課題が連携の課題となる>などの《縦割り業務》、<介護予防部門には生活習慣病予防イコール介護予防という視点がない>などの《目標の相違》、《データの共有の不備》、《介護予防部門の生活習慣病関連の知識不足》、《国の支援体制の不足》の5カテゴリーが抽出された。介護予防との連携につながる保健師のグッドプラクティスは、日常業務を通した保健師の意図的関わりや介入の積み重ねの結果だった。一方、生活習慣病予防イコール介護予防という視点が一般化していないなど連携先である介護予防部門に対する課題を認識していた。今後は、介護予防部門からみた特定保健指導との連携について現状や課題を明らかにし、双方の強みを生かした多職種連携システムの構築が重要となると考える。 ③研究成果および特定保健指導と介護予防との連携システムモデル案をまとめた研究成果報告書を作成し、全国調査で連絡先が書かれた自治体に送付した。(報告書は、A4サイズで全68ページ) ④インタビュー結果を国内学会および国際学会で発表した。
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