研究課題/領域番号 |
15K11907
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
水谷 聖子 日本福祉大学, 看護学部, 教授 (80259366)
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研究分担者 |
松永 昌宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00533960)
長谷川 真美 愛知医科大学, 看護学部, 助教 (00559148) [辞退]
水谷 勇 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (60190641)
西尾 彰泰 岐阜大学, 保健管理センター, 准教授 (90402172)
肥田 佳美 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (10587017)
大橋 裕子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (70352911)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クロスアディクション / 生活困窮者 / 民間支援団体 / 家計相談 / 人とのつながり / 地域とのつながり |
研究実績の概要 |
ホームレス経験者の中には、アディクション(嗜癖)によって生活困窮を繰り返す人がいるが、彼らのほとんどは生活保護受給時にアディクションに対する適切な治療を受けていない。彼らはアディクションにより自己制御を失ったことで、職場・友人・家族との信頼関係を失い、仕事・家族・夢を失い、場合によっては命を失っていた可能性もある。あるいは、職場・友人・家族との関係性を失い、自己制御を失いアディクション(嗜癖)になった可能性もある。 生活困窮者支援団体であるNPO法人ささしまサポートセンターで取り組んでいるアディクションで生活困窮を繰り返す可能性のある当事者への家計相談プログラムの検証と、週単位で変化すると思われるストレス状況を唾液と質問紙調査により、継続支援の実施と検証を行っている。 2017年12月からアディクションミーティングを開催している。ミーティングでは、物質使用障害治療プログラム(SMARPP-24)の読み合わせ、対話など、参加者の関心を大切にして取り組むようにしている。要望に応えて2017年度4月からは毎週開催している。2018年度からは 薬物離脱ワークブック(松本、伊藤、2017)の第Ⅱ部の生きづらさ、対処、よりよい社会生活をテーマにした内容に取り組んでいる。 唾液調査結果、質問紙調査はデータ収集したものの、まだ分析には至っていない。引き続きデータ収集を行い、年度単位で結果をまとめ、彼らの状況に適した支援プログラムを検討する。 2018年4月の日本口腔ケア学会では彼らの口腔内に関する実態の報告、7月の日本看護学会ー在宅看護ーでの事例報告、11月の日本公衆衛生学会では、アディクションミーティングを示説発表した。事例研究を論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象となる当事者の不安定な生活に併せて、対象者の研究協力が継続できない時期が発生した。また、研究協力を依頼している支援団体の課題やボランティアのマンパワー不足なども生じた。研究途中に60代の若さで亡くなった方など、その支援や対応に追われた。「緩やかなつながり」や「その人らしさ」「アスピレーション」などを大切にした支援の結果も含め詳細な分析が必要である。これまでのデータ収集はできているものの分析途上である。研究代表者が十分な研究時間が確保できなかったことも大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に調査方法は変えないが、亡くなられた方の評価の一環として彼らへのかかわりのある方へのインタビューを行うことを計画する。年間を通して不安定になりやすい時期(年末年始、ゴールデンウイーク、8月13-15日のお盆・夏休みなど)への質問紙調査の導入など、なぜ不安定になるのか、彼らに起きている現象を探究する。生活困窮者支援団体であるNPO法人ささしまサポートセンターで取り組んでいるアディクションミーティングで生活困窮を繰り返す可能性のある当事者への家計相談プログラムの検証と、週単位で変化すると思われるストレス状況を唾液と質問紙調査により、継続支援の実施と検証を行う。家計相談担当者との打ち合わせ会議と個人インタビュー調査、歯科検診を行う。 検査結果および暫定支援プログラムの検討は、研究代表者と分担研究者が集まり、検査結果、調査結果と暫定プログラムの検討を行う。 調査が中断した、その後再会し、繋がり本人の同意が得られた場合は、調査協力を依頼し継続する。グループ支援としてのアディクションミーティングを継続し、研究者間で集プログラムの検討を行う。 令和元年度は、『当事者との協働によるグループ支援プログラムの開発』を目指し、参加した当事者への支援を継続しつつ、協働で支援プログラムについて検討する。 アディクションの支援について、0次予防~3次予防の視点での検討と他国との比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者の研究協力の継続が困難になるとともに、パンフレット作成と毎週開催しているアディクションミーティングへの2018年度の支払いなどが滞ってしまったためである。また、インタビューが予定通り実施できなかった。 基本的に調査方法は変えず、亡くなられた方の評価の一環として彼らへのかかわりのある方へのインタビュー、揺れ動く時期(年末年始、ゴールデンウイーク、8月13-15日のお盆・夏休みなど)に関する現象を探究する。アディクションミーティングの継続と評価としては、当事者へ家計状況や社会とのつながりなど定点での質問紙調査、インタビュー調査と歯科検診の費用として使用する。
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