研究課題/領域番号 |
15K11909
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研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
三並 めぐる 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (20612948)
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研究分担者 |
岡 多枝子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (30513577)
阿部 眞理子 横浜創英大学, 看護学部, 准教授 (30734165)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 養護教諭 / 危機管理力 / 実践 / 看護学生 / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
養護教諭の危機管理力を高める実践研修プログラムを、学生がアクティブラーニングで学ぶ学校の危機管理と救急処置の視点から考察した。 児童生徒、教職員の「救急処置力を高める」ことを目的として、養護教諭を目指す看護学生の授業の振り返りを対象とした実証研究を行った。その結果、学生は、①一刻を争う場面で根拠ある判断・対応が求められ、臨機応変な的確な対応が求められるなど「緊急・重大時に根拠に基づいたアセスメントと臨港変な対応が求められる」と考えていた。また、②就職1年目から「学校内で唯一の医療分野の専門知識をもつ教員」として即戦力を期待される存在であり、重い責任がある仕事ととらえていた。さらに、③根拠に基づく実践力に関して、日頃から児童生徒への対応の中で磨くことにより的確な救急対応力を養っておく必要があると考えていた。一方、④子ども達の学校生活の様々な場面において、注意深く観察することにより、個別性のある対応ができる準備とコミュニケーション能力を養う重要性にも気づいていた。同時に、⑤日常の体験や事例検討などを通した学びの工夫で、実践力を磨くことができるとしていた。あわせて、⑥大学の授業を主体的に学び取る課程の中で基礎作りをすることなど、学生時代から自ら学ぶことの重要性を認識していた。 以上のことから、養護教諭を志す大学生は、学校における災害発生時の危機管理対応で「学校保健の中核的役割を担う養護教諭」の役割を考えており、大学生の時から「リスク・マネジメント」とともに「クライシス・マネジメント」を学ぶ意義、就職1年目から「トリアージ」の専門的知識・技術を持った養護教諭が必要であると考えていた。同時に、大学時代に養護教諭としての危機管理力の基礎を作ろうとする意欲を自ら喚起しているとの示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)子どもの安全をめぐる状況、(2)学校における危機管理(①学校安全計画 ②学校事故における初期対応 ③リスクマネジメント・クライシスマネジメント)、(3)危機管理の進め方(①学校安全計画の作成 ②学校危機管理マニュアルの作成 ③危機管理体制 ④セーフティーネットワーク)、(4)危機管理における養護教諭の役割(①救急及び連絡来制の整備 ②応急手当の研修企画と実践 ③ 避難訓練での実践と習熟 ④心のケアの体制づくり)が危機管理力と関連しており、養護教諭の危機管理力を高める実践研修プログラム「~いつでも・どこでも・だれにも安心・安全~」についてInternational Cconference on Nursing, Pharmacy, Traditional Medicine and Healthcare Sciences大阪で開催された国際学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
養護教諭の危機管理力を高める実践研修プログラム構築のために、今後の研究の推進方策は主として下記の2点である。 第1に、中学校勤務の養護教諭と養護教諭を目指す看護大学生とを対象として、災害時におけるシミュレーション教育を行う。先行研究によると、現場の多くの養護教諭が緊急度評価を行うことに自信がないと答えており、過去の学校事故災害報告においても養護教諭には緊急度・重症度の判断が求められている。本研究で現場の養護教諭及び養護教諭を目指す学生にトリアージの考え方や正確な救急法の講習会を行うことは学校の災害時の危機対応能力の一つとしての救急技術を向上させることになり、実際に求められている緊急時・災害時の対応システムの構築になると考える。具体的には運動会での熱中症同時発生や学校でのアナフィラキシーショックが考えられる事例等の救急対応時に養護教諭が全身のアセスメントの中で傷病者の緊急度、重症度の判断、校内連携をとって対応できるプログラムを構築する。 第2に、研究全体を総括し、研究成果をまとめて学会発表や学術誌等での発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新設学部の教学委員長であり、私的には101歳の実母介護で十分な研究時間の確保が難しい状況であったため、助成金を十分使用できなかった。 次年度は、養護教諭の危機管理力を高める実践研修プログラムを作成し実施検証のために、レサシジュニアQCPRおよびQCPRフィードバックスキルガイドを購入し、養護教諭と養護教諭を目指す看護学生に研修会を行う。
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