研究課題
災害への危機意識を高めながら科学的根拠に基づいた災害時公衆衛生活動ができるために、平成29年度まで、大学生に対する卒前教育および、発災直後の被災地で活動する可能性が高い職種の方への卒後教育(シミュレーションを含む)を実施し、個人情報保護やプライバシーへの配慮のもと、教育効果を評価するアンケート調査を行ってきた。平成30年度は、その評価をおこなった。まず教育対象については、看護学生や看護職だけでなく、発災直後の被災地や避難所で活動する職種との演習、また連携が必要な職となる学生を対象としたことは、今後の災害時の活動において有効であると考える。なぜなら、災害時公衆衛生看護活動は災害時公衆衛生を基礎とする活動であり、実際多職種との連携が不可欠だからである。次に、教育内容については、平成28年度から災害発生時の情報収集・アセスメント・判断・提供・対応方法とその機関に関する内容とした。東日本大震災後の災害対策として制度化された災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の構成員に保健師が入っており、国はDHEATの人材育成として平成28年度から全国で災害時の情報とマネジメントに関する研修を行っている。このことから災害時の活動の基本である情報に関する教育内容は、情報の点でDHEATの研修と同じ方向性にあることから、今後、DHEAT関係の研修や災害時の活動に有効であると考える。教育効果については、卒前教育でのアンケート調査の結果、将来災害時に公衆衛生支援活動を行ないたいという気持ちが向上した学生は、情報収集・アセスメント・指揮・提供・対処と機関の判断等についてできるという気持ちが向上していた。ただし、気持ちの向上の程度は情報に関する項目によって違いが見られた。卒後教育では、アンケート調査の結果、情報に関する項目の多くが向上または変わらないであった。
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Disaster Medicine and Public Health Preparedness
巻: Volume 12, Issue 3 ページ: 291-295
10.1017/dmp.2017.82
公衆衛生情報
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