研究課題
前年度,国際宇宙ステーションで33日間栽培されたシロイヌナズナを用い,花序柄の組織の発達に微小重力環境が与える影響を調べた結果,微小重力という長期間の異なる重力環境下では,これまでの短期間の過重力実験でも見られなかった,髄腔や繊維形成に対する重力の影響が観察された.そこで本研究では,地上の3 G環境下において,より長期間である45日間栽培された花序柄の先端部および基部の節間を切り出し,固定と包埋を行い,横断切片を作製し,過重力環境がシロイヌナズナの花序柄の内部組織形態に与える影響を調べた.その結果,現時点では調査試料数がやや少なく予備的であるが3 G区の基部では,横断面全体,表皮,篩部,形成層,木部,髄腔の横断面積が,1 G区と比べ有意に増加していた.また,先端部の各組織では増加傾向が見られた.先端部での横断面積の増加度合いは10 G実験区での増加ほどでなく,重力加速度の大きさの違いを反映していると考えられる.組織横断面積の増加に細胞数の増加が伴うのか否かについては今後の課題である.また,3 G区では髄腔の形成が抑制傾向であったが,先行研究での微小重力区では促進傾向であり,重力が髄腔形成を抑制する可能性が示された.一方,過重力実験では遠心力を用いるため,遠心中に振動が発生した場合は問題となる可能性が有り,また対照実験において揃えることが難しい条件となる。そこで本研究では、2台の過重力植物栽培装置(MIJ-17, MK-3)の振動特性を解析しその振動がコケ植物の成長に及ぼす影響を調べた.その結果,MIJ-17では不規則な振動が観察され,MK-3では10 Gでさえほとんど振動は見られなかった.しかし,MIJ-17の遠心時の振動でさえも,ヒメツリガネゴケの形態形成にはほとんど影響しないことが確認できた.
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