研究課題
4-6ヵ月間国際宇宙ステーションに滞在した6名の宇宙飛行士において起立時の血圧調節機能を検討した。宇宙滞在前 (Pre) は60°head-up tilt (HUT) 時の血圧はよく保たれていたが,帰還1日-2週間後には低下し,2ヵ月後には前と同様な応答を示した。前庭-血圧反射の感度も1日-2週間後には有意に低下し,2ヵ月後には回復した。以上の結果,宇宙滞在により前庭-血圧反射の機能が低下し,このことが帰還後の起立耐性低下に関与している可能性が示された。2 gで飼育したラットでも前庭-血圧反射の低下が認められていることからも,過重力と微小重力は前庭系を介する調節系に同じような効果を持つことが分かった。1 g環境,遠心機による2 g環境,宇宙の微小重力環境で飼育したマウスの耳石感覚細胞,神経節,前庭神経核を用いて,RNAseqおよびヒストン修飾を標的としたChIPseqを行った。前庭神経節では変化した遺伝子が無かったが,球形嚢,卵形嚢の感覚上皮では多くの発現変化が見られ,しかも球形嚢と卵形嚢ではそれぞれ異なる発現変化を呈した。球形嚢では,内耳機能障害に関与するPou3f4,幹細胞維持に関与するNotch,Wntシグナリングに関与する遺伝子が12個含まれていた。また,微小重力環境では,1 g環境で見られた球形嚢と卵形嚢の遺伝子発現差が減少した。2 g環境では,前庭神経核のGABA受容体発現が減少し,グルタミン酸受容体発現が増加したが,微小重力環境ではGABA受容体,グルタミン酸受容体とも発現が減少した。これら受容体変化の生理学的意味を調べるため,前庭神経核の促進系ニューロンおよび抑制系ニューロンを光刺激して誘発される交感神経活動と血圧の応答を,1 gおよび2 g飼育動物で比較した。2 g飼育により光刺激に対する交感神経活動増加と血圧上昇反応が有意に抑制された。
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