本研究の目的は、被災地における離婚の実相を探ることにより、今後の被災地支援に役立てると同時に、実態の把握が困難である通常時の離婚についても、そ の実相を知る手掛かりを得ることである。そのために、第一に、各種の統計にもとづいて日本全体の 離婚の動向と各被災地の離婚の動向とを比較検討すること、第二に、被災地における相談内容の聞き取り調査にもとづいて離婚に至る経緯・離婚原因・話し合いの状況などを探ることである。 前年度までに、第一の実施計画である統計にもとづく離婚の動向の把握については一応の分析を進めることができたため、本年度は、第二の実施計画に取り組むこ とが中心であった。 2019年2月、大阪でウィメンズネットこうべの代表正井禮子氏と懇談を行い、災害がもたらす家族への影響一般について聞き取りを行った。また、災害法制に詳しい神戸の津久井進弁護士からも同様の聞き取りを行った。直接、離婚の動向に結びつけることは困難であったが、家族をもつ女性被災者への支援体制が不十分であることが分かった。
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