研究課題/領域番号 |
15K11927
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
高木 亨 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任准教授 (20329014)
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研究分担者 |
瀬戸 真之 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任研究員 (10386518)
今泉 理絵 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任助教 (10725849)
本多 環 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任教授 (10726128)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 復興プロセス / 災害・公害 / 東日本大震災 / 原子力災害 / 帰還 |
研究実績の概要 |
東日本大震災ならびに原子力災害を経験した福島県の人々へ経験、過去の災害・公害等の経験から、個々人の災害からの復興プロセスを明らかにすることが本研究の目的である。今年度は、これまでの福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの研究支援活動で培った関係者とのつながりを活かした調査をおこなった。 その成果としては、行政関係者への聞き取り調査により、帰還に向けたプロセスやその判断材料など、帰還プロセスの一端を明らかにする事ができた。さらに、川内村や広野町での地域の担い手となる帰還者への調査により、「戻る」「戻らない」という判断時期、そのときの情報などのプロセスについて、その一端を明らかにすることができた。 また、高校生のキャリア意識の調査からは、震災復興にともなう地域の活性化が地元志向やキャリア発達において重要であることがわかるなどの成果があった。 さらに、中越地震の被災地での調査から、住民の生活再建プロセスについて情報を得ることができた。また、水俣病事件からは、公式確認から60年近く経過してなお、患者・被害者の「復興」は進んでいないことなど、異なる災害等の事例を収集することができた。 こうした調査成果は、国際学会での報告、出版等でその成果の一部公表することができた。加えて、年度末には、福島市内において水俣病事件研究者を交えた公開ワークショップを開催(科学研究費基盤研究Sとの共催)、その成果を一般向けに報告することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福島での震災被害・原子力災害での被災経験のほか、幅広い災害・公害等の事例を集めることが多くなった。このため、様々な事例から生活を再建していくプロセスを集めることができた。これを足がかりとして、次年度以降も継続して調査をおこなえる環境が整えられた。 一方で、福島県内の事例収集が予定通り進められたとは言えない。とくに、地域産業の担い手に対する調査は若干の遅れが見られる。この辺りは、次年度の調査で補いつつ進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、継続して多様な災害等からの個々人の復興プロセスの収集に努める。今年度、手薄となってしまった福島県内での事例収集には、意識して進める。 一方、研究分担者等の異動が想定されており、転出先においても調査を継続できるよう体制を整える。また、継続できない分担者が発生した場合、それを補なうための調査対象を確保する。 調査で得られたデータの分析にも取りかかる。とくに対象者の空間移動の分析や、広域避難者等の避難や帰還の判断とその行動についての分析について進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度遠隔地での調査を計画していたが、福島県内避難者等の実態を明らかにすることを優先したため、旅費の支出が計画より抑えられたことによる。また、アルバイト学生等による資料整理を予定していたが、研究の進捗状況がその段階ではなかったため、謝金が発生する事案がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究代表者が福島大学を離れることとなり、福島県までの相当の旅費が発生すると予想される。また、研究進捗にあわせたアルバイト謝金等が発生するため、それらに充当していく。
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