研究課題/領域番号 |
15K11929
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩佐 有華 (秦有華) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90609132)
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研究分担者 |
青木 萩子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40150924)
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096)
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90405051)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 応急仮設住宅 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き、福島第一原子力発電所事故のために福島県内の応急仮設住宅に避難を続けている住民の心身の健康状態の把握と維持に努めるため定期的に相談会・交流会を開催した。本年度は研究対象者11名のうち5名が応急仮設住宅から復興住宅へ転居したため、応急仮設住宅居住時と災害復興住宅居住時との睡眠とストレスの比較を目的に調査を行った。研究対象者5名のうち、データ収集を4名(1名は研究辞退)に行った。客観的睡眠状態はActigraphy(米国A.M.I社製モーションロガー型アクチグラフ)を、主観的睡眠状態はピッツバーグ市睡眠質問票(PSQI)を用いて測定した。また、精神的ストレス測定には日本語版GHQ28健康保健調査票、唾液ストレスマーカー(chromograninA,cortizol,amylaze,sIgA)を用いて評価した。復興住宅転居による睡眠状態(客観的睡眠状態、主観的睡眠状態)に大きな変化は見られなかったが、唾液ストレスマーカーによる結果及びGHQ28精神保健調査による精神健康度では、大きく改善した対象者と悪化した対象者があった。それぞれにインタビュー調査を実施した結果、復興災害住宅に移ったことによる安心感によるものが精神健康の改善に寄与していることが示唆された。反面、避難指示解除に伴う支援の中止に関連した被災地にある住居の処理などが精神健康に悪影響を及ぼしていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は復興災害住宅転居後の調査を行う予定であったが、復興災害住宅への転居の遅れなどからデータ収集をすることが出来なかった対象者がいたため。 また、客観的な睡眠の質(睡眠の深さ)を調査するため簡易的脳波測定を試みたが、就寝中の電極ハズレ、筋電図の混入などにより有用なデータを収集することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、復興住宅に転居した対象者の睡眠とストレスのデータ収集を行っていく。加えて、対象者にインタビュー調査を行い、応急仮設住宅での避難生活についての「思い」を聞き、量的調査、量的記述的調査、質的調査の結果を統合し、原子力災害による被災者の特徴について明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
他学部所有のマイクロバス使用交渉により福島での健康相談会に関わり交通費を大幅に削減できたこと、対象者の災害復興住宅への転居の遅れなどから調査を行う人数が少なかったこと、簡易脳波測定が電極ハズレなどのために受託解析できなかったことによるものでである
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は、旅費(研究成果発表、福島県内避難者への健康相談会開催、現地保健師との打ち合わせ)、人件費(謝金、翻訳費)、その他(免疫学的ストレス評価の唾液試料中成分分析測定受託費、脳波解析受託費、研究成果発表、通信費)、物品費(パソコン、ICレコーダー)に使用する予定である
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