研究課題/領域番号 |
15K11932
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
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研究分担者 |
馬場 美智子 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (40360383)
奥本 京子 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 教授 (70321073)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 対話 / 紛争変容 / 原発災害 / 人間関係葛藤 / 力の差 / 平和構築 / トラウマ |
研究実績の概要 |
原発災害後の人間関係の葛藤への紛争解決学による変容支援研究の最終の取りまとめとして、①原発災害後直後の人間関係葛藤、②そのメカニズムの分析、③それへの変容支援戦略、④人間関係葛藤の近年10年での変化、④今後の変容支援戦略について、日本語と英語で、論文を執筆した。特に、災害によるトラウマ化社会の現象という側面、ステークホルダー間の力関係の差がある場合の非対称コンフリクトという側面に注目をして、分析し、その変容支援戦略をまとめあげた。 本研究では、原発事故後の人間関係葛藤に対する多様な対話プロジェクト(アートや語り部や地域交流といった広義の対話も含む)について、参与観察研究やインタヴュー調査研究を行ってきたが、そのデータの分析ととりまとめもすすめた。ワールドカフェ手法による対話、プロセス指向心理学による対話、修復的正義を交えた水俣と福島の交流対話など、対話参加者の特性によって異なった手法が有効である可能性、また、語り部が自己対話を深めること、裁判においても本来は被告や被告人(国や東京電力)との対話を求める気持ちが根底にあることなどがインタヴューで分かってきた。 また、分断を経験した住民同士では、対話を通じた相互理解が進むことが多いが、力関係の差があるステークホルダーとの対話や組織人として対話に参加する人との率直な対話の困難があることが、インタヴューで語られた。 また、原発災害から13年がたった2023年の3月11日に、福島市内で、福島市を中心とする住民有志団体であるエチカ福島と共同で、対話のプロジェクトを行うという、アクションリサーチを行った。対話を続けてきたリーダーたちからも、震災から13年の中で、対話をする意義を見失いかけていた、対立軸が見えにくい中で対話自体が困難になっていく現状があるといった声が得られた。
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