研究課題/領域番号 |
15K11939
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
山崎 泰央 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (10387293)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 創業支援 / 震災復興 / 企業家活動 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、石巻市を中心とした三陸沿岸地域において、東日本大震災後に総務省復興支援型地域社会雇用創造事業、宮城県震災復興企業支援補助金事業などの支援を受けた創業者について調査を実施した。 調査では第 1 に上述の創業支援事業を実施し、現在も対象地域 で創業支援を行っている石巻復興支援ネットワークへの聞き取り調査を実施した。宮城県内で総務省事業を実施した機関の多くは、支援期間終了後はその活動を休止している。その中で唯一、石巻復興支援ネットワークは宮城県や石巻市の行政機関と連携し、コワーキングスペースの運営や創業者向け経営相談を実施している。他の機関との違いの一つには、当該団体の活動地域が石巻地域に限定されているため、当初から地域や行政機関との連携を意識していること、団体の存立基盤が石巻に限定されていることによって、団体自体に信頼を維持する義務感と圧力が働いているといえる。 第 2 に、前述の創業支援事業によって、創業した三陸沿岸地域の事業者約 90 社のうち、28事業者への訪問調査を実施した。雇用についてみると創業時よりも増加している事業者が43%、横ばいが39%となっていた。最近の業績については、伸びているが46%、横ばいが36%だった。このことから、現在も事業継続をしている事業者の4割は順調に事業を進めているといえる。第 3 に、創業者の持つ社会的ネットワークについては、創業時の相談相手について調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は石巻地域で創業支援を行っている石巻復興支援ネットワークの聞き取り調査と三陸沿岸地域の事業者約 90 社のうち、28事業者への訪問調査ができた。しかし、創業者について「自身が創業する際に重要な相談を行った相手の属性及び接触頻度 」について調査できたが、「現在、重要な経営相談をおこなってい る相手の属性及び接触頻度」 および「重要な仕入れ先および重要な顧客と考える相手」に関する聞き取りが進んでいない。また創業支援を受けた事業者には営利事業だけでなく、NPOなども含まれていたため、創業者の調査範囲を営利事業に絞るべきか、非営利事業を含めて広い範囲で捉えるべきか再考する必要がでてきた。平成28年度は調査対象とする事業者の数を絞って、信頼関係を構築しながら、上記内容のネットワーク調査をすすめたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は調査対象とする事業者の数を絞って信頼関係を構築しながら、「現在、重要な経営相談をおこなってい る相手の属性及び接触頻度」 および「重要な仕入れ先および重要な顧客と考える相手」に関する聞き取り調査を進めていく。一方で、各事業者の事業展開やビジネスモデル、ネットワークについて分析を進めていきたい。 国内の先進事例については、災害復興に関連して新潟県や兵庫県の調査に取り組むほかに、この度、震災のあった熊本県の創業支援の取り組みについても調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費としてパソコンを購入する予定であったが購入時期を延期した。人件費・謝金についてはデータ入力などの研究補助に対するアルバイトへの謝金を考えていたが、石巻復興支援ネットワークとの共同調査となったため同団体の協力によって、支出を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は昨年度の遅れを取り戻す。国内旅費では被災した他地域での創業支援について調査を進める。沿岸部の創業者調査ではその他で計上しているレンタカーの利用を増やす。物品費ではパソコンの購入を行う予定である。
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