東日本大震災による岡山県と大阪府の広域避難者の生活実態調査の分析を行った。両府県の生活実態を把握することにより広域避難者の避難行動や生活実態の特徴、特に住環境に関する課題を明らかにした。 両府県の避難者はともに幼児や学童を帯同している割合が過半を占めていた。子どもの安全や健康を優先して避難した世帯が多いと考えられる。避難理由の最上位は、岡山県は「自然災害が少ない」、大阪府は「原発施設や放射能の不安が少ない」であり、両府県とも震災や二次災害の原発事故のリスクを避けることを最も重視していた。 岡山県の避難者は震災発生の数ヶ月経過した後に放射能の影響を懸念し始め、自然災害等が少ない安全な場所を重視して避難し、賃貸住宅に暮らしている世帯が多い。避難前の住所は関東地方が約7割を占めており、罹災証明書を有する割合は2割以下であった。 一方、大阪府の避難者は東北地方で直接被災し、住宅が毀損したために生活基盤を早く整えることを重視して避難し、公営住宅で暮らしている世帯が多い。避難前の住所は東北地方が約8割を占めており、罹災証明書を有する割合は6割以上であった。また、大阪府の広域避難者は永住を考えている世帯が多い。しかし、府営住宅や雇用促進住宅は入居期間の制限があるため、入居期間の延長を望む声が大きい。住宅に対する支援が最も強く求められていた。両府県の避難者に共通する実態、避難先の地域により異なる状況が明らかとなった。
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