本研究では、福島県浜通り地方の田植踊りを事例として、震災後中期的段階における伝承形態の実態を調査研究し、長期展望のもと復興過程の構造を明らかにすることを目的とした。 復興意欲によい影響を与えた点は、各田植踊りは震災前に比べてはるかに多い上演機会を得たこと、無形民俗文化財指定、あるいは、地域伝統芸能特別賞という事実がインセンティブとして抽出できたことである。最終年度に保存会の方々による意見交換会を開催した。そこで明らかになった点は、伝承形態に多様性があった事、相互にそう遠くない位置にあるにもかかわらず相互交流は少なかったこと、地域コミュニティーの誇りにより、復興につながったことである。
|