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2015 年度 実施状況報告書

被災雄牛における継世代影響評価系の構築と解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K11952
研究機関新潟大学

研究代表者

山城 秀昭  新潟大学, 自然科学系, 助教 (60612710)

研究分担者 杉村 智史  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00728454)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード福島原発事故 / 被災雄牛 / 精子 / 仔牛 / 継世代 / 雄性ゲノムクローニング
研究実績の概要

本研究の目的は、福島第一原発の旧警戒区域内で6ヶ月から2年間被ばくした11頭の雄ウシにおける線量評価と継世代影響の解析から、大型畜産動物における長期外内部被ばくの影響を知る基盤を樹立し、福島畜産の復興や食の安全性評価に貢献することである。そのため、臓器別に放射性物質の同定と放射能の定量を行い、放射性物質の違いによる標的器官を見出す。さらに、経時的な継世代影響評価系の構築と遺伝的影響を明らかにし、未知の放射線被ばくに特異的なバイオマーカーを同定することにより継世代影響を評価する新技術を開発する。
これまで、旧警戒区域内で安楽死処分されたウシ、ブタおよびその圏内に生息している野ネズミにおける生殖器官の組織学的解析と元素分布、および生殖細胞と次世代への遺伝的影響を解析することを目的として実施し、生殖細胞(精子)を採取・体外受精、凍結保存すると共に、沈着物質の同定と放射線量を測定した。さらに、2年間被ばくしたウシから採取した凍結精子をレシピエント牛に人工授精(AI)を実施した。現在、出産した仔牛は、性成熟に達するまで飼育している。
今後は、除核したウシ成熟卵に、卵細胞質内精子注入法(ICSI)にて精子を顕微授精することにより、半数体の雄性単為発生胚を作製し、それを胚盤胞期胚まで培養する。これにより、一匹の被災牛由来精子から同一の遺伝情報を持つ精子核の複製、すなわち、成熟卵の細胞質特有の性質を利用した雄性ゲノムクローニング法により精子核を複製させる。その後、ICM細胞を培養することにより抽出したDNAを用いて解析する方法を確立する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

同時に、DNAをSureSelect Bovine All Exon Capture Sequence (Agilent Technologies)を用いて染色体の全エクソン領域を濃縮し、次世代シーケンサー(illumine社 HiSeq機種)を用いて網羅的にシーケンスを実施する方法、並びに、取得した配列は、NCBIのBos Taurus UMD3.1バージョンのReferenceゲノム配列にマッピングし、スニップとインデル(挿入・欠損部位)の頻度・位置から、放射線影響による変異のある遺伝子を絞り込む方法も確立させつつあるため、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると評価する。

今後の研究の推進方策

今後は、除核したウシ成熟卵に、卵細胞質内精子注入法(ICSI)にて精子を顕微授精することにより、半数体の雄性単為発生胚を作製し、それを胚盤胞期胚まで培養する。これにより、一匹の被災牛由来精子から同一の遺伝情報を持つ精子核の複製、すなわち、成熟卵の細胞質特有の性質を利用した雄性ゲノムクローニング法により精子核を複製させる。その後、ICM細胞を培養することにより抽出したDNAを用いて解析する方法を確立する。また、F1世代の仔牛は、性成熟に達するまで14ヶ月間飼育し、精子を採取・凍結保存する。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度は、実験に使用する消耗品費を最低限で抑えたため。

次年度使用額の使用計画

DNA抽出試薬、DNA解析費、抗体費など解析に関する費用および仔牛の解剖処理費に使用する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Electron probe X-ray microanalysis of boar and inobuta testes after the Fukushima accident2015

    • 著者名/発表者名
      Yamashiro H, Abe Y, Hayashi G, Urushihara Y, Kuwahara Y, Suzuki M, Kobayashi J, Kino Y, Fukuda T, Tong B, Takino S, Sugano Y, Sugimura S, Yamada T, Isogai E, Fukumoto M.
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: 56 ページ: 42-47

    • DOI

      10.1093/jrr/rrv070

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 被災雄牛における継世代影響評価2016

    • 著者名/発表者名
      山城秀昭, 高橋秀和, 藤 晋一, 漆原佑介, 桑原義和, 鈴木正敏, 阿部靖之, 杉村智史, 福田智一, 木野康志, 磯貝恵美子, 福本 学
    • 学会等名
      第49回無菌生物ノートバイオロジー学会
    • 発表場所
      仙台ガーデンパレス(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-01-29 – 2016-01-30
    • 招待講演
  • [学会発表] 被災雄牛における継世代影響評価の試み2015

    • 著者名/発表者名
      山城秀昭
    • 学会等名
      福島原発事故による周辺生物への影響に関する専門研究会
    • 発表場所
      京都大学原子炉実験所(大阪府・熊取市)
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-11
  • [学会発表] Effects of radiation exposure on transgenerational inheritance in bulls after the Fukushima Nuclear Power Plant accident2015

    • 著者名/発表者名
      Yamashiro H, Tong B, Takino S, Sugano Y, Tanaka S, Nishikawa T, Yoshida C, Abe Y, Hayashi G, Urushihara Y, Kuwahara Y, Suzuki M, Takahashi H, Fuji S, Isogai E, Fukumoto M
    • 学会等名
      15th International Congress of Radiation Research (ICRR)
    • 発表場所
      Kyoto International conference Centre (Kyoto Prefecture, Kyoto City)
    • 年月日
      2015-05-25 – 2015-05-29
    • 国際学会
  • [図書] 被災家畜における生殖器官・機能影響の評価2015

    • 著者名/発表者名
      山城秀昭、瀧野祥、菅野有晃、漆原佑介、鈴木正敏、桑原義和、阿部靖之、小林 仁、福田智一、木野康志、篠田 壽、磯貝恵美子、福本 学
    • 総ページ数
      135 (pp74-78 部分担当)
    • 出版者
      京都大学原子炉実験所レポート (KURRI Report)

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公開日: 2017-01-06  

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