研究課題/領域番号 |
15K11960
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石川 洋平 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50435476)
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研究分担者 |
徳本 家康 佐賀大学, 農学部, 助教 (80445858)
宮本 英揮 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10423584)
松野 哲也 有明工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80243921)
嘉藤 学 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40270376)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | IoT / センサネットワーク / クラウド / 津波被災農地 / 高塩濃度土壌 / 土壌物理 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、マイコン(Arduino)を用いたXbeeによる無線通信とTDTセンサの制御を実現し、佐賀大学圃場・熊本県玉名市横島・宮城県岩沼市で誘電率と電気伝導度の3点3深度計測を行なった。システムの堅牢性を高めるために、無日照保証を考慮した太陽光パネルとバッテリーの最適な組み合わせを検討して、数ヶ月間メンテナンスフリーでの運用を可能とした。さらに、Xbeeの通信距離・障害物の影響を検証し、数百m程度の距離での安定的な多点通信が可能となった。 研究実施体制としては、有明高専教育研究技術支援センターの堀田孝之(連携研究者)・荻島真澄(研究協力者)・中島正寛(研究協力者)に参画頂き、プロジェクトの水平展開を見据えたシステム構成の検討と各所でのシステム設置を行なった。 上記の通り、研究進捗・連携体制も良好で、平成28年度に実装開始予定だったIoTを意識したシステムのクラウド化も一部できており、計測データ(1時間毎)を常時Web上で確認できる状態になっている。 研究実績の公表に関しては、土壌物理学会と第2回電子デバイス・回路・照明・システム関連教育・研究ワークショップにて発表し、農工連携の事例として共に表彰を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は土壌水分・塩分の空間変動性の解明に資する農学系現場ニーズに沿った簡便なデータ監視システムの実現である。(1)マイコンによるTDTセンサを用いた土壌水分量計測の制御手法の提案。(2)土壌水分・塩分量計測センサネットワークの開発および評価。(3)津波被災農地におけるセンサネットワークの適用。というの3つを実現することにより目的を達成する。 (1)に関してはTDTセンサの自在な制御を可能とするライブラリ開発を行いプロトタイプの実装を行うことができている。(2)に関しては佐賀大学圃場でのシステムチェックを経て熊本県玉名市横島で実験中である。(3)に関しては宮城県岩沼市で3点3深度の空間変動を考慮した無線計測を行なっている。従って(1)~(3)各々おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、東北・九州で計測中のデータの検証とシステムの堅牢性の向上を検討する。さらに、本システムのニーズ探索のために、自然災害の予見に寄与するための計測対象拡大を図る。研究推進のベースとなる農工分野間の壁や、研究者間の意思疎通の方法などを含めて研究をスムーズに進めていくための環境整備も同時に確立していく。 問題は、センサが外国製品のため、円安の影響を受け、想定していた数の多点計測ができないということである。これに関しては、本件とは異なるがセンサの独自開発も視野にいれて検討していく。 このように、システム開発・運用・連携をキーワードとして、農工連携の事例をアウトリーチ活動の一環として広く公開することも前倒して実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安の影響により、センサの価格が想定より高くなってしまった。そこで計測点数を減らしての運用になったため、予算案との差異が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
本システムに対する計測点数の増加要望や計測場所追加の問い合わせ数は増える一方であり、需要が大きく、研究の重要性・必要性の裏付けとなっている。従って、平成28年度予算と合算して利用することによって大きな効果を得られるものと考えている。
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