本研究では,フランスの高レベル放射性廃棄物処分場の建設に関わる合意形成において,可逆性概念が機能したメカニズムについて分析した.その結果,処分場建設予定地域の住民は,私的利益,信頼感,手続き的公正といった要因によって賛同態度を形成していた一方で,一般市民は,社会的利益,信頼感,手続き的公正,道徳的責任感といった要因に基づいて賛同態度を形成していたことが示唆された.さらに,“可逆性”は,一般市民に対してのみ賛同を高める効果があったことも示唆された.また,返報性と公共心の効果も検討された.その結果,返報性は公共受容に影響しないことや,公共心によって賛同構造が変わることが示唆された.
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