研究課題/領域番号 |
15K11968
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 健宏 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (40364418)
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研究分担者 |
迫 一光 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (30547360)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 公的介護制度 / 財政学 / 社会保障制度 / 人口成長率 |
研究実績の概要 |
本年度は環境税を消費財生産企業に課すか、家計に対して消費税を課すことによって政府は介護サービスの利用者負担率を軽減する政策の検討を行い、つぎの4つの結果を得た。 (1)消費税引き上げによって利用者負担率を軽減する政策(「消費税引き上げ政策」と呼ぶ)および環境税引き上げによって利用者負担率を軽減する政策(「環境税引き上げ政策」と呼ぶ)はいずれも資本ストックや一人あたり汚染ストックを減少させる。 (2)環境税引き上げ政策のほうが消費税引き上げ政策よりも、資本ストックおよび汚染ストックをより減少させる。 (3)消費税引き上げ政策および環境税引き上げ政策はいずれも介護サービス価格を低下させるが、 環境税引き上げ政策のほうが消費税引き上げ政策よりも、介護サービス価格をより低下させる。 (4)介護サービス事業者が行う介護の質については、どちらの政策を採用しても同程度の改善の効果がある。 本研究を行うことで、社会保障財源として環境税を利用すべきか消費税を利用すべきかについてある程度の方向性を出すことができたといえる。ただし、 現状では経済厚生にどのような影響が生じるのかについては明らかにすることができていない。 このことについては次年度以降の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は次の論文を掲載することができた。(1)伊藤健宏・迫一光「公的介護制度改革と経済厚生 -人口成長率を内生化したモデルによる考察-」『経済研究』一橋大学経済研究所編 第68巻第1号 pp.1-14 研究報告については以下のとおりである.(1)広島大学にて行われた日本応用経済学会で「公的介護制度改革の財源としての環境税と消費税の比較研究」(伊藤健宏・迫一光)と題して研究報告を行った。(2)岐阜聖徳学園大学にて行われた岐阜聖徳学園大学経済情報学会セミナー(12月26日開催)で「公的介護政策と経済厚生」(迫一光・伊藤健宏)と題して研究報告を行った。(3)尚美学園大学にて行われた「社会保障と価格提示の可能性」研究会で「年金制度の賦課方式から積立方式への移行に関する考察-介護が存在している場合を中心に-」と題して研究報告を行った。 以上のように、おおむね順調に論文の掲載と研究報告がなされている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のように研究を進めていく. 1.「研究概要の実績」でまとめた研究内容については、早々にワーキングペーパーにまとめ、さらなる検討を加える。 2.昨年度に引き続き、人口成長率を内生化した世代重複モデルを用いて, 消費税を財源とした公的介護制度の改革についての議論を深める。 3.介護と年金制度の関わりについての新たな理論モデルの構築し、そのモデルの特性を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者迫の予期せざる学内業務が生じたことによって当初の予定のエフォートを割くことができなかったことが予定使用額を消化出来なかった理由である。予期せざる学内業務に目途がつきましたので来年度以降は予定通り研究を進め遅れを取り戻す。
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次年度使用額の使用計画 |
計画していた物品支出に関して支出出来なかったものを支出し、現在行っている研究に対するコメントを関連研究を行っている研究者に求めるための旅費に支出することで予定使用額通りに支出する。
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