2017年度までに分析していた結果を2018年度に開催される日本NPO学会において報告するために延長申請を行い、延長が承認されたものである。従って、分析結果の内容や意義は2017年度の【研究実績の概要】とほぼ同じである。要約すれば下記のようになる。「Campfire」の「ソーシャルグッズ」カテゴリーに属する入手可能な304件のデータ(2011年1月から2017年6月)を用いて、クラウドファンディングの成否と非財務情報の情報開示との関連性について実証分析を行った。そこでは、Facebookのシェア数、Twitterのアカウントの有無、ホームページでの画像数がクラウドファンディングの成否と有意に関連していることが明らかとなった。しかしながら、米国の先行研究では有意であった動画による報告数は今回の分析では有意ではなかった。 日本NPO学会の報告において特筆すべきこととしては、今回の分析結果がきっかけとなり、わが国の非営利組織の動画作成能力が欧米の組織に比べて未熟であることが議論されたことであろう。宣伝広告を外部の専門家に依頼することが多い営利企業と違い、非営利組織は各種PR用の動画を組織内で作成する場合が多いと思われる。寄付やクラウドファンディングなど、非営利組織への資金提供者により強いインパクトを与える動画や画像作成ができるようになることが、わが国の非営利組織の発展にとって重要な課題であることが浮き彫りとなった。
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