研究実績の概要 |
本研究では研究代表者の提案している「劣線形時間パラダイム」の実証のための理論研究を行っている。2016年度の主な成果は以下の通りである。 (I) 複雑ネットワーク上の定数時間アルゴリズム:前年度に提案した Hierarchical Scale Free (HSF) という多重グラフのクラスと、そのクラスが超有限 (Hyperfinite) であること、「クラスHSFに属する多重グラフにおいては、任意の性質が定数時間で検査可能である」ことを示した結果を欧州最高のアルゴリズムの会議であるThe 24th European Symposium of Algorithms (ESA 2017)に投稿し、受理され、講演した。 また、実用上も早く検査できる性質を考察した結果をAsian- Pacific World Congress on Computer Science 2016で講演した。(II)ケーキ分割問題を劣線形時間で解く枠組みを与え、その下でのアルゴリズムを提案した。この結果は国際会議The 8th International Conference on Fun with Algorithms (FUN 2016), June 8--10, 2016, La Maddalena, Italy に採録され、講演した。(III) 一般化ボードパズル:ライツアウトとは、碁盤目状に並んだ5×5のオン・オフが切り替えられるスイッチで、スイッチを一つ押すとそのスイッチとその上下左右のスイッチのオン・オフが切り替わるシステムで、与えられた盤面(一部のスイッチがオンになっている)に対し、すべてのスイッチをオフにできるか否かを問う問題である。これを√n×√nにした一般化ライツアウトを考え、この問題が定数時間検査可能であることを示した。
|