研究課題/領域番号 |
15K11992
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤平 昌文 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (70017424)
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研究分担者 |
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90585803)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 欠損性 / 漸近平均 / 漸近分散 / 漸近損失量 |
研究実績の概要 |
統計的推測において、様々な前提条件の下で推測方式の比較をすることが多く、またその定量的評価も重要になる。そこで、或るサイズの標本に基づく推測方式Aとそれに何らかの意味で同等になるために、より大きいサイズの標本を必要とする推測方式Bを考える。このとき、Bが必要とする付加サイズに関する量をBのAに対する欠損量といい、その極限が存在するときにそれを漸近欠損量という。特に、正則推定論においてはその漸近欠損量は推定量A、Bのそれぞれの漸近分散の2次のオーダーの差として表現される(Akahira and Takeuchi (1981, Springer LNS 7参照)。 本研究においては、正則と非正則の性質を併せ持つ分布族として切断指数型分布族Pにおいて、自然母数は正則な構造を特徴付け、切断母数は非正則な構造を特徴付ける。そこで、自然母数が既知のときの切断母数の補正最尤推定量A'に対して、自然母数が未知のときの切断母数の補正最尤推定量B'の2次の漸近損失をB'の漸近分散の2次のオーダーの係数からA'のそれを引いた値dと定義すると、これは丁度、漸近欠損量に対応する量になる。まず、Bayes推定の観点から2次の漸近損失量を導出した。その結果、Bayes推定量の2次の漸近平均は事前密度πに依存するが、2次の漸近分散にはπには無関係になるため、2次の漸近損失量もπに無関係であることが分かった。また、Pに属する切断ベータ分布、切断Erlang分布、切断対数指数分布の場合に具体的にその量も計算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
漸近欠損性を2次の漸近損失量として捉え、Bayes的観点から検討を重ねその量が事前密度πに無関係になることを明らかにした。常識的には、πに依存すると考えられるが、そうではないという知見を得たことは意外であり興味深い結果と思われるので、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
従来は、最尤推定の枠組み又は Bayes推定の枠組みの中で漸近欠損性を考察したが、今後、それらの枠組みを越えて、最尤推定量とBayes推定量の漸近的比較を2次の漸近損失量を用いて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を推進するに当たって、研究資料の収集等で謝金を使用するとともに従来の成果をまとめて研究資料の印刷物も作成する予定でしたが、適当な研究支援者を見つけることができず実行することができませんでした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究資料の収集、研究関連の情報収集等に注力するために助成金を使用し、本研究において十分な成果を得るように遂行する予定です。
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