これまでの研究成果を踏まえて平成29年度は下記の成果が得られた。 1.カーネル型分布関数推定量のバイアスを修正するクラスを提案し、平均二乗誤差の意味で優れていることを示した。2.平滑化法を利用して、二標本検定問題の順位検定に内在する有意確率の不連続性を解消する方法を提案し、その有用性を示した。3.直接型密度関数比のカーネル型推定量を改良する新たな推定量を提案し、その理論的な性質を明らかにした。 これまでの研究ですでに次の成果が得られている。4.カーネル法を利用した密度比の直接型推定量の漸近理論を構築し、有界なサポートを持つ確率密度関数について漸近平均二乗誤差の意味で改善することを示した。5.ハザード関数のノンパラメトリックな直接型推定量を構成し、その理論的性質を明らかにした。6.カーネル型確率点推定の新しい方法を提案し、これまでに提案されている推定量と比較した。この新しい推定量は直観的に受け入れ易いものになっている。7.カーネル法を利用したウィルコクソン統計量の平滑化を提案し、元の統計量と漸近的に同等であることを明らかにした。また有意確率の高次近似を導出し、シミュレーションで検証して理論との整合性を確認した。8.カーネル型密度関数推定量の分散に対するジャックナイフ分散推定量の一致性を示し、それを利用したスチューデント化カーネル型密度推定量のエッジワース展開を求めた。9.条件付き密度関数の新たなカーネル型推定量を提案し、その性質を明らかにした。またノンパラメトリック回帰に応用して、ナダラヤ・ワトソン推定量に対抗する直接型推定量を提案した。 これらの成果は、様々な研究集会で報告し、いくつかは論文としてすでに発表しており、他の成果も国際誌に掲載することを目指している。
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