研究課題
データ同化とは、複雑な現象の高精度予測のために、時空間観測・計測データの解析と数値シミュレーション計算を統合することにより、シミュレーションの初期値や境界値、パラメータ等を実際の現象をなるべく再現するように定め、時にはシミュレーションモデル自体にも手を加える(リモデリング)一連の計算作業である。本研究では、データ同化の考え方を研究推進の基本指針として、データ科学、シミュレーション科学、およびセンサー技術を三位一体化した、エミュレータ・デザイン学を創りだすための数理基盤の整備に取り組んだ。今年度は研究計画の2年目ということもあり、エミュレータ・プロトタイプの構築に注力した。テストベッドとして考えていたデータ同化実験において、同化させる目的変数の選択を含めた観測モデルの同定に時間がかかってしまい、構築作業のステップが双子実験による基礎的機能の確認にとどまった。一方、エミュレータの数理的基盤の展開においては、汎用的枠組みを確立するといった具体的な成果があげられた。枠組みのフローチャートは以下の通りである。まず目的変数を定め、スパース回帰を適用しエミュレータを得る。次に、設計パラメータ相互間の依存性をモデル化したカーネル関数を定義しガウス過程回帰を用いることで、設計パラメータに対する目的変数の応答曲面を構成する。この応答局面の誤差の大きい領域からサンプリングした設計パラメータ(テストパラメータ)に対して、少数のシミュレ-ションをさらに実施する。この結果を取り入れて、改めてさきほどのガウス過程回帰を適用し応答曲面を改善する。この手続きを設計精度を満足するまで繰り返す。この繰り返し手続きの中で、高次元設計パラメータ空間内のテストパラメータの配置を自律的に逐次学習するアルゴリズムも考案した。これらの成果を学会等で発表するとともに、統計的品質管理の分野の専門家から意見をもらい改善を図った。
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巻: Vol.59, No.1 ページ: 53-56
http://doi.org/10.1241/johokanri.59.53
巻: Vol.59, No.9 ページ: 629-635
http://doi.org/10.1241/johokanri.59.629
http://www.ism.ac.jp/
http://www.ism.ac.jp/~higuchi/
http://researchmap.jp/matrix