研究課題/領域番号 |
15K12014
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅谷 至寛 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80323062)
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研究分担者 |
大町 真一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30250856)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 位置推定 / ユビキタスコンピューティング / computer vision |
研究実績の概要 |
本研究では,人間が利用するために掲示された案内板(案内マップ)を利用し,屋内ナビゲーションのための電子化された地図の提供が無くても歩行者ナビゲーションを実現することを目指している.地下街や大型ショッピングモール等での利用を想定しており,まず,ユーザーは人間が利用するために掲示された案内板(案内マップ)をスマートフォン等のカメラで撮影する.これを解析することでナビゲーション用の電子マップとして使用する.こうして得られたマップは縮尺と方位が不明であるが,二か所以上で現実空間との対応を取り,相対的な位置の変化を知ることができる手法であるデッドレコニングと組み合わせることで,歩行者ナビゲーションを実現できる. 案内板の解析手法を検討するためには,まず,ある程度の枚数の案内板画像の収集を行う必要がある.国内8都市で100箇所以上の案内板画像を取得し,それらのデータの分析を行った.案内板画像を4つのタイプに分類し,これらの知見を活用してマップ中の通路領域を推定するアルゴリズムを開発した. さらに,スマートフォン内蔵センサ(加速度センサ,ジャイロスコープ,磁気センサ)のみで実現できる歩行者デッドレコニング手法の調査を行った.また,本研究では,縮尺・方位不明のマップを利用するが,そのための粒子フィルタを利用したマップマッチング手法を含む,歩行者ナビゲーションシステムのフレームワークを開発した.これらをスマートフォン上に実装して実験を行い,「案内板を利用したナビゲーション」という本研究の基本アイディアが実際に動作し実現可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度は案内図読み取り・解析のための基礎技術の開発を行う計画であり,現在までに通路領域の推定を行う手法の開発を行った. これに加え,次年度以降に行う予定であった,スマートフォン上へのデッドレコニングの実装が進行しており,デモがある程度動作している.したがって,当該年度は当初の計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に研究開発した案内板の読み取り・解析手法をさらに発展させる.現在はパラメータ等を手動で決定している部分があるが,学習によって自動的に決定することが望ましい.そのために,案内板データをさらに拡充していく必要がある. 案内図には多様な形式が存在し,照明条件もさまざまである.それらに対応し,全自動で解析が行えることが望ましいが,困難な場合もあると予想される.そのため,ユーザーのガイドによる解析の補助や,解析結果の修正,そのためのユーザーインターフェースも検討していく. また,スマートフォンのカメラを利用して,案内板内の現在地表示以外の方法で現在地を推定する手法も併せて検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額と合わせ,平成28年度の研究遂行のために使用する予定である.
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