研究課題/領域番号 |
15K12021
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 晃 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80165282)
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研究分担者 |
石田 繁巳 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (10724388)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スマートセンサ情報システム / センサーネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は,1台のセンサノードの通信範囲内に膨大な数のセンサノードが存在する「高密度センサネットワーク」の実現に向けて高速なデータ収集機構を実現することを目的としている.センサネットワークにおいては無線LANとの干渉が大きな問題となることから,初年度はセンサノードにおいて無線LAN信号を検出する手法に関して主に研究開発を行った. センサノードと無線LANは同じ2.4GHz帯を利用しているため,センサノードにおいて無線LAN信号の強さを観測することができる.本研究ではこの原理を応用し,無線LANアクセスポイントの信号をアクセスポイントを識別しながら検出する手法を開発した. 研究開発を進める中で,データ収集プロトコルではセンサノードの位置を用いてルーティングや通信同期制御を行うことが必須となることに思い至った.このため当初計画を変更し,無線LANアクセスポイントの信号を用いて膨大な数のセンサノードの位置を自動的に取得するための測位手法を開発した. 当初予定で初年度内に行う予定であった通信方式の開発が上記計画変更によって実施不能となったため,次年度の計画の一部を前倒しで実施した.具体的には,センサノードから無線LANアクセスポイントの送信チャネルを推定する手法を開発した.本手法により,無線LANアクセスポイントが多数存在するチャネルを特定することが可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は新しい通信方式を提案するものであり,申請時には予測できなかった難しさを見いだすに至っている.しかしながら,研究開発を進める中で研究の目的を達するために必要となる新たな技術課題を着想し,それを解決するための研究開発を行った. 当初計画の初年度の研究開発の一部は未着手であるが,次年度の予定を前倒しで実施した点,新たに着想した技術課題を解決する研究開発を行った点を勘案し,当初の計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に当初計画には無かった新たな研究開発を行ったことから,計画の全ての研究開発を行うことは困難であることが予想される.当初計画ではセンサノードが自律的にチャネルを変更した場合にもシンクノードからの制御信号をロバストに伝達する通信方式を開発する予定であったが,研究開発を進める中でこの方式は必須でないことに思い至った.これに対し,無線LANとの干渉に向けては自律的なチャネル変更は必須となるため,上記の通信方式の研究開発よりも先に自律的なチャネル変更を行うデータ収集プロトコルの研究開発を行う. 本プロトコルの実装,実証評価を終えた上で時間がある場合に上記の通信方式及びそれを応用したデータ収集プロトコルの開発も行うこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究開発では,当初予定していなかった新たな研究開発を着想して遂行した.この研究開発では申請者の保有している機器を利用したため,当初予定よりも必要となった物品費が少なくなった.次年度には初年度に予定されていた実証評価を行うため,初年度分の一部を次年度に繰り越すこととした. なお,当初計画以上に成果が出たことから対外発表を多く行ったために旅費,会議参加費は増加している.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では初年度に開発した技術を使った研究開発を行うとともに初年度に開発した技術も含めた実証評価を予定している.このため,実証評価に必要となる機器やシミュレータ等の購入を予定している.
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