実世界の至るところで、様々なデータが大量に取得可能になりつつある現在、特に時空間データの分析・活用を行う情報処理手法の必要性が高まっている。実世界で生まれたデータには、そのデータが生成された時刻や場所を付与することが可能であり、実世界中のほとんどのモノがインターネットに接続されるIoE(Internet of Everything)の利用が普及すれば、時空間情報は大量に収集される。しかしながら、時空間情報は3次元空間+時間次元の4次元上にマッピングされる情報であるため、単純な2次元平面の図に投影することは困難である。本研究では、大規模な時空間情報を用意に扱うための新しい時空間情報解析処理システムの構築を目指す。 初年度には、基礎的な情報処理を中心に時空間情報の多様な可能性について検討し、2年目は、(1)3次元インタラクティブアニメーション基盤の高度化、(2)可視化手法のプリミティブの検討、(3)データ型の自動判断についての基礎的な検討を行った。最終年度となる29年度は、実世界における具体的な時空間情報を対象に、データ型の自動判断から、自動解析、そして、可視化手法の提案までの流れを構築し「実世界知覚」の有効性について検討を行った。特に(1)様々な時空間情報に対応可能な情報処理の枠組みを構築するため、名古屋大学未来社会創造機構、NPO法人位置情報サービス研究機構(Lisra)などを通じて得られた実世界データに対し、解析、可視化を実施し、実世界知覚の有効性を確認した。 また、(2)様々な時空間情報の3次元可視化において、情報可視化手法としてのアニメーションを活用し、データの特徴を動的に表現する方法を検討した。(3)データ登録からデータ型の自動判別、さらに自動的に可視化する、といった一連の流れを、可能な限りユーザの手間が無くても自動的に実行できる枠組みの構築を行なった。
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