研究実績の概要 |
1.ディジタル画像に電子透かしとして任意データを対話的に埋め込むツールの開発 ディジタル画像から得られる3次元ヒストグラムに電子透かしとして任意のデータを対話的に埋め込む方法を提案し,ツールの開発を行った.従来はヒストグラム上に埋め込んだ複数の点が並んだ形状でロゴマーク等の著作者情報を表示させていたが,この方法では電子透かしとして例えばカラー画像や音データを埋め込めない問題があった.一方,本研究では著作者情報(任意データ)をバイト列とみなして1バイトを8ビットに分割した後,1ビットを0と1に対応する2種類の頻度数をもった点で表現するようにした.これにより,画像・音声・文字といった著作者情報をデータ形式の区別なく電子透かしとして埋め込めるようになった. 2.電子透かしを埋め込んだ画像の画質評価 電子透かしを埋め込み前の画像のヒストグラムに近い位置に埋め込んだ場合の方が,離れた位置に埋め込んだ場合よりも,一般に画質評価は高くなる.そこで,電子透かしの埋め込み位置を画像によって動的に移動するようアルゴリズムを修正したところ,評価結果が大きく改善した.例えば,1024×1024画素からなるパンダのグレースケール画像の2次元ウェーブレット変換から得られる4枚の画像(LL,LH,HL,HH)のうち3枚(HL,LH,HHの組み合わせ)を用いて3次元ヒストグラムを構成した場合,「工大」という形の23点の電子透かしを頻度数10,000埋め込むと提案法ではピーク信号対雑音比が約20dB改善した. 3.Android用の電子透かし埋め込みアプリケーションの開発 カラー画像のRGBを3次元ヒストグラムの3軸とする3次元ヒストグラムに対して,電子透かしを埋め込むAndroid用のアプリケーションを開発した.これにより,タブレットのカメラで撮影した写真に対して,その場で電子透かしを埋め込めるようになった.
|