本研究の目的は、我々がこれまでに「京コンピュータ」等のスーパーコンピュータ上で開発、最適化してきた一連の大規模並列コードをベースに、シミュレーションからポスト処理をシームレスに実行できる、「ポスト京」へ向けた新しいシミュレーションのフレームワークを構築することである。 2017年度は2016年度中に作成した、大規模ダークマターシミュレーションを一時処理し、取扱いを比較的容易にしたデータである、「ハロー合体形成史」を単にインターネット上に公開するだけでなく、WEBアプリ経由でデータベースシステムと連携できるようにした(http://hpc.imit.chiba-u.jp/~ishiymtm/db.html/)。これにより個々のユーザがハローのプロパティの選択や、プロパティの値の範囲などの条件を指定できるようにし、条件を満たしたデータのみのダウンロードを可能にした。データ転送時間やストレージ消費量を抑えることが可能となった。 そして得られたハロー合体形成史上で準解析的銀河、活動銀河核形成モデルを適用を進め、クェーサーの輻射効率がクラスタリングに対して与える影響を評価した。観測で得られるクラスタリングの情報から、銀河中心超巨大ブラックホール周りの降着円盤のモデルに制限が付けられることが示唆された。この結果をまとめた論文が Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 誌にて出版された。
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