研究課題
本研究は、認知的・言語的機能が未発達あるいは極端に低下していても用いることかできる情報デバイスを設計・開発することを目的として実施された。具体的には、我々が申請時において開発済みの「デジタルおしゃぶり」を用いた発達認知神経科学的実験とこのデバイスの改良を同時並行的に行いながら、口唇部で操作する情報入力装置を開発した。本研究の特徴は、意思表出や言語機能・認知機能が;発達途上である乳幼児を対象としたデバイス評価実験を実施したことである。つまり、認知機能・運動機能が低下した障がい者の代替モデルとして乳幼児を捉え、障がい者・高齢者のコミュニケーション支援技術創出するため、乳幼児を対象とした行動実験・脳活動計測実験を行った。具体的研究成果としては、(1)「デジタルおしゃぶり」の改良、(2)成人を対象とした実験で「ボタン」としてのおしゃぶりの活用可能性の確認、(3)乳児を対象とした認知実験への活用の3つをあげることができる。上記(1)に関しては、複数のフォトレフレクタを用いたものと空気圧センサを用いたものの2つを作成し、複数のフォトレフレクタを用いた「デジタルおしゃぶり」の優位性が確認できた。(2)に関しては、通常の指で操作する「ボタン」と「デジタルおしゃぶり」を比較し反応時間に差が見られないことが確認できた。(3)に関しては、乳児の向社会行動実験に「デジタルおしゃぶり」を活用できることが確認できた。この実験では、自らのサッキングに呼応する視覚的フィードバックとそうではないフィードバックへの選好を選択注視法によって精査し、6ヶ月児がそれらを弁別可能であることが示唆された。これらの研究成果の一部は、国際会議に発表済であり、現在、複数の有力国際誌に投稿準備中である。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Brain and Cognition,
巻: 113, ページ: 155-163
10.1016/j.bandc.2017.02.003
Nature Human Behavior. 1, Article number
巻: 0037 ページ: 016-0037
10.1038/s41562-016-0037
https://ardbeg.c.u-tokyo.ac.jp/ja/top/