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2016 年度 実施状況報告書

ヒトの記憶システムにおける無意識的処理:生起機序と神経基盤の解明に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K12044
研究機関福岡女学院大学

研究代表者

分部 利紘  福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (50747772)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードエピソード記憶 / 記憶検索
研究実績の概要

研究計画を立案した段階では、記憶検索をやめた後も側頭葉内側部では検索処理に関わる神経活動が亢進的に持続している可能性を想定していた。しかし、研究実施初年度(2015年度)に海馬を中心とした側頭葉内側部の神経活動を計測した結果、相応する神経活動は観察されず、反対に外側前頭前野での神経活動が記憶検索停止後に持続している可能性が新たに浮上した。そこで2016年度は本可能性を検証するために、頭皮上脳波を計測するためのシステム作りを中心に進めた。
具体的には、計測機器の導入と心理・行動実験手続きの構築であった。頭皮上脳波はノイズが混入しやすいため、実験では多くの試行数を必要とする。この要件を満たす課題を確立すべく、2016年度はいくつかの実験を行った。その結果、①記憶検索を連続して行うと、検索した記憶情報が忘却されていくこと、②ある情報を覚えた直後に別の情報を覚えるという状況で、後続情報を覚える際に先行情報を覚えたときの文脈が提示されると、先行情報の記憶成績が向上することなどが、副次的に示された。前者(①)は、研究計画立案時の仮説と正反対のものではあるが、「記憶検索を行うと検索された情報の成績が向上する」という定説に疑義を呈するものであり、高い心理学的な意義があると考えられる。後者(②)は、符号化と検索が同時に成立しうる可能性を示すものであり、心理学的意義だけでなく、符号化と検索がシータ波の異なる位相で生起するという神経科学的仮説にも寄与するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2016年4月の熊本地震で被害が出たため。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策としては、①2016年度に示された研究結果が追試可能か否かを検証する、②記憶検索後の処理過程を支える神経活動を頭皮上脳波から明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2016年4月の熊本地震により被害が出たことで、生理実験への着手が遅れたため。

次年度使用額の使用計画

繰越額約60万円のうち、30万円を生理実験(頭皮上脳波の計測実験)に参加した被験者への謝金として使用する。残り30万円のうち、20万円を心理・行動実験の参加者への謝金、10万円を英語論文校正費に使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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