研究課題/領域番号 |
15K12045
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
内海 彰 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (30251664)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 美的判断 / ベクトル空間モデル / 視覚芸術 / 言語芸術 |
研究実績の概要 |
(1) 視覚芸術として絵画を取り上げ,絵画の鑑賞・審美的評価に関する心理実験を実施した.様式やジャンルの異なる100件の著名な絵画を材料として,審美的評価に関する23個の評価軸(例:魅力度,覚醒度,興味深さ)に対して100名の実験参加者(絵画制作経験者50名,非経験者50名)が5件法による評定を行った. (2) 上記(1)で得られた23項目の評定データを従属変数,絵画の特徴量を独立変数とする重回帰分析を行うことによって,審美的評価の認知モデルを構築した.絵画の特徴量として,RGB等の他に,絵画の画像データから得られるSIFT特徴量に基づくBag of visual wordsを用いた.その結果,いくつかの評価軸を説明する特徴量を見出すことができた. (3) 言語情報と画像情報からベクトル空間を生成するための新たな手法として,抽象語の意味ベクトルをそれに類似する具象語の画像ベクトルの情報を用いて生成する手法を提案し,その評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していた絵画の審美的評価の認知モデルを構築するための心理実験を実施して,その基礎データを収集するとともに,審美的評価の認知モデルの構築まで行った.ただし,データ量が多いため,まだ十分な解析ができておらず,次年度以降にベクトル空間モデルを用いたより詳細なモデリングを行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
絵画を対象とした視覚芸術の認知計算モデルについては,今年度の研究成果をふまえて評価実験や考察を進め,国際会議への発表へ結び付けたい.言語芸術に対する認知計算モデルについては,今年度に実際の小説や詩を対象としたモデルの構築および評価に取り組みたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた計算用サーバを他の予算によって購入することができたため,本研究専用の安価なワークステーションの購入に変更したことによって,差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の成果発表のための国際会議の旅費や論文掲載・英文校正のための費用に充てるとともに,必要に応じて追加の計算用サーバやデータ保存用のサーバの購入に充てる予定である.
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