研究課題/領域番号 |
15K12051
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
野澤 昭雄 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (70348465)
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研究分担者 |
岩城 達也 広島国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70341229)
石川 智治 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343186)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 質的分析 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ / 勇気づけプロセス / 勇気づけ要因 / Twitter / 勇気づけワード |
研究実績の概要 |
平成27年度は本研究の基礎として,未だに明らかになっていない「勇気づけ」の心理学的な構造の分析を中心とした研究を推進した。具体的には,まず第一に,無作為に抽出した複数の被験者に対して過去の「勇気づけ」経験に関するインタビューを実施し,インタビュー回答に対して心理学分野の質的研究手法である修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)による質的分析を実施した。結果,「勇気づけ」は,心理的にネガティブな状態からニュートラルな状態へ回帰する「回帰勇気づけプロセス」,および,ニュートラルな状態からポジティブな状態へ昇華する「昇華勇気づけプロセス」として機能していることが明らかとなった。さらに,「勇気づけ」は,「自己」および「他者」の二つの「勇気づけ主体」を第一要因,「直接的」「間接的」「環境的」から成る三つの「勇気づけ方法」を第二要因とした,二要因構造を構成していることが導かれた。続いて,これら勇気づけ要因のうち,特に自己充実指向者への勇気づけに求められる「自己直接勇気づけ」に関して,具体的な事例の調査を実施した。事例のサンプルはSNSのTwitterから収集した。特に,社会的に成功し,「自己直接勇気づけ」が有効に機能していると考えられる有名スポーツ選手のTwitterログに対して,前述の質的分析から求めた「勇気づけキーワード」を含む「勇気づけTwett」を抽出し,その時系列変動や周期性を解析した。結果,勇気づけが必要とされる状況においては,総Tweet数に比して勇気づけTweetが相対的に増大し,自己勇気づけが自律的かつ有効に機能していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
勇気づけ経験に関するインタビューにおいては,当初計画に比してサンプル数が過小であったが,勇気づけのプロセスと構造の分析の結果は,これまでに明らかとなっていなかった画期的な成果を得ることができ,また,Twitterを用いて具体的事例の調査を量的に十分実施したことにより,全体計画の観点では概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,勇気づけ経験に関するインタビューを量的十分になるよう引き続き実施しつつ,各勇気づけプロセスおよび構造に関する生理心理学的実験を実施し,勇気づけの生理心霊的効果を定量的に明らかにするとともに,自己充実指向者の勇気づけにおいて有効な工学的手法の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況を研究者間でより迅速に共有するため,本研究に関する打ち合わせ頻度を計画よりも増加させる必要があったが,分担研究者の旅費を抑制するためにインターネット上のオンライン会議システムを積極的に利用したところ,分担研究者の旅費使用額が計画より過小となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
心理学に関する国際会議ICP2016には研究代表者のみが出席し研究報告を行う予定であったが,心理学を専門とする分担研究者も専門家として参加することが妥当であるため,この旅費および参加費として当該助成金を充当する。
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