研究課題/領域番号 |
15K12056
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鏡 慎吾 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90361542)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スマートセンサ情報システム / 画像、文章、音声等認識 |
研究実績の概要 |
本研究は,高フレームレートかつ画素レベルの密度での距離画像の計測を可能とする高速プロジェクタ・カメラシステムの開発を目的とする.平成27年度は,投影システムの基礎検討と試作および精度測定を行うとともに,正弦波の合成と分解に基づく位相接続アルゴリズムの検討を行った. 投影システムの開発に関しては,Digital Micromirror Device (DMD) を用いた市販プロジェクタの投射レンズの前方に後付けする光学系の設計と構築を行った.その結果,DMD上に表示した2値画像を正弦波様の格子縞パターンに変換して投影することが可能であることを確認した.投影された縞パターンをカメラで撮像し,その濃淡値の空間変化の精度評価を行ったところ,完全な正弦波からは少なからず乖離しており補正が必要であることがわかった.また,正弦波からの乖離の度合いは画像上の位置によって異なっており,位置依存の補正手法を導入する必要があることがわかった.これらは当初予想していた通りの結果であり,DMD上の2値パターンの補正により対応可能なものと考えられる.一方,光学系から投影対象物表面までの距離によって生じる縞パターン変動が当初予想より大きいこともわかった.これはDMD上のパターンによる補正は困難と考えられるため,光学系のさらなる改良が必要と考えられる. 位相接続アルゴリズムの開発に関しては,正弦波の合成・分解のための基本手法を数学的に定式化し,合成する正弦波群が満たすべき条件と,分解後の信号から位相を一意に定めるために投影画像上の空間位置と位相との間の関係が満たすべき条件を導出した.さらに,濃淡値の計測誤差が位相算出に及ぼす影響について検討し,その影響を小さくするために要求される空間位置と位相との間の関係を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記載した事項はおおむね遂行されており,順調に進捗していると考える.一方で当初は予想していなかった課題も明らかになっており,さらなる研究が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
当初掲げた平成28年度の実施計画に基づいてさらなる研究を進める.また,平成27年度に明らかになった光学系の課題を解決するための手段について,光学系設計の修正とともにDMD以外の変調器の利用も視野に入れて検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した光学系についての新たな課題が明らかになり,その解決方法を十分に検討したのちに光学系の改良を行う必要が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
上記事項について十分な検討を行った後に,光学部品等を購入して光学系の改良を行う.当初請求分と合わせて,プロジェクタ・カメラシステムの開発,3次元計測システムの開発を進める.
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