本研究は「生態相互作用と融合した省電力型な動物装着型センサ・ネットワーク機構」の実現を目的とする。従来の動物装着型センサノードは、生息地特有の電源・情報インフラの制限やセンサ搭載可能重量の限界から、ノード間通信等を長期的に行うことが困難だった。そこで本研究では、動物の生態相互作用に着目した。具体的には、複数個体間の生態行動学的な相互作用を「検知」した場合にのみノード間通信をアクティブにし、それ以外の時は常にスリープ状態とするシステムを設計・開発する。本提案により「野生動物自身がセンサを持ち歩き、単独行動時に取得したデータを、集団行動時に省電力で共有・回収するシステム」実現する。これにより、高線量地域の計測空白域の生物多様性情報を長期・自律的に取得する基盤が実現する。H28年度は、上記の知見とこれまでの研究成果に基づいて、“動物間ネットワークシステム“を福島県阿武隈山地北部地域(帰還困難区域)に実際に生息する動物に実装して有効性の評価を行った。評価を行うにあたっては避難中の地元住民らと岩手大学の獣医から許可を得あることができた。帰還困難区域への立ち入りについては浪江町役場の指示に従い適切に行った。これらの研究成果を2017年3月13日に経済産業省及びIoT推進ラボは第3回先進的IoTプロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」で発表したところ、準グランプリ選定・表彰された。
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