研究課題/領域番号 |
15K12062
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
廣林 茂樹 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (40272950)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 符号化技術 |
研究実績の概要 |
NHAの2次元化と画像応用の可能性についての検討を行った。一般に、正弦波1本で構成される信号をDFT(FFTや離散コサイン変換DCTなども本質的に同じ)で変換すると、そのスペクトルは分析窓の影響で、2次元周波数空間では本来存在しないスペクトルが複数群れて現れる(側帯波)。一方、NHAでは、側帯波が全くでないため、画像信号を表現するスペクトル数が、格段に減る。一般の符号化技術では、信号を周波数変換し、その上で量子化し、さらにハフマンなどの符号化処理が行われる。ここで、NHAでスペクトル自体を正確に推定すれば、事前にスペクトル数を大幅に削減でき、その後の符号化技術によって、さらにデータ量を飛躍的に減少させる可能性がある。このように、本質的に信号を正確に解析できれば、符号化の前処理の周波数変換部の改善で、大きな恩恵を与えることができる。 特に画像解析でよく利用されているWaveletでは、空間分解能に優れるが周波数分解能が悪い。またコサイン変換は、スペクトルの集約性が良いといわれるが偶関数展開しているため、偶関数化による空間の非連続性によって、側帯波が多く発生する。申請者は、既にNHAによる画像応用の可能性を、スペクトル数という観点から、従来法と比較して実験的に調べてきた。より少ない効率的なスペクトル表現ができれば、極限的なデータ圧縮につながる。 また、NHAは、アルゴリズム内部の従属性が低いところで、効率よく負荷分散できるため、GPUに代表されるように並列計算機との相性が良い。多次元データをマクロブロックに分割することでブロック単位の計算時間を抑え、さらにブロック単位並列化が図れるため、マクロブロックによる速度向上と計算精度を定量的に検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通信などによるブロック欠損(ブロック損失、雑音)に対する検討を行う予定であったが、の椅子モデルの検証と評価実験に予想以上の時間を取る必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
以下の2点について検討を行う予定である。 (1)動き予測の問題に対する検討 動物体を含む動画像を3次元周波数変換すると、そのスペクトル群が3次元周波数領域に分布意する。この分布形状により、物体の動きを特定することが明らかになっている(Dimitrios等 、 IEEE Trans. Image Processing vol. 18, pp. 168–187, 2009、なお、この文献ではFFTを使っており周波数分解能分解能が悪く、複雑な運動や複数の物体まで特定することができない)。そこで、NHAを使った鮮明な周波数空間上でも動きを予測や保障を行うことができれば、符号化処理を、ほぼすべて周波数空間で行うことが可能性であり、これを評価する。 (2)通信などによるデータ欠損(ブロック損失、雑音)に対する問題の検討 通信路上での画像の欠損や雑音をするためにNHAによって得られたスペクトルの情報から欠損領域の復元や雑音の抑圧する技術を開発する。欠損領域の修復には従来、空間領域からのアプローチが多く使われているが、NHAを用いた詳細な周波数空間上での補間技術により、これを実現する。特に、前述したNHAの1本と2本の解析合成例を見ても、ブロック歪がほとんどなく、正確なスペクトル情報に基づけば、空間的に補間することが可能であり、これを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
通信などによるデータ欠損(ブロック損失、雑音)に対する問題の検討を行う実験が遅れに伴い、当初計画していた一部の検証が行えず、物品購入に必要な性能評価が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
性能評価の検討結果を行い、適正な物品購入を行う。
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