本研究では,「選択的注視カメラ」と名付ける新しい映像サーベイランスの原理を実現するためのカメラを開発する.申請者は過去の研究において,ライトフィールドカメラを利用した選択的注視センシングという新しい映像サーベイランスの原理を確立しており,本研究はこれまでの成果の実利用化を目指し,次の点について研究を行う. ・選択的注視カメラ試作 選択的注視センシングの原理を様々なセンシング環境で利用できるようにするために,安価で設定が容易なカメラシステムを試作する.これまでの成果では,試作したカメラシステムを利用して,興味領域抽出の性能実証を行った.画素レベルでの評価で9割以上の高い適合率が得られることが確認できた. ・ライトフィールドアラインメント 選択的注視カメラで計測する複数の光線特徴をソフトウェア的に時間同期させる方法を確立し,これまでに作成した選択的注視カメラの試作機上に実装する.これまでの成果では,各カメラで得られる光線特徴を短期間プールして,カメラ間で時空間光線特徴の整合性を評価する方法を検討した.プールする期間(時間窓)が長くなると映像サーベイランスの結果を出力するタイミングに遅延が生じるため,できるだけ短い時間幅で時空間光線特徴の整合性が評価できる時間窓の設計を行い,試作カメラに実装した. 本研究は当初計画では平成28年度までの予定であったが,当該年度に投稿した成果報告発表を行うために1年延長して平成29年度まで実施した.平成29年度は研究成果をさらに物体認識や顔画像認識システムへの展開も行い,その成果発表も行うことができた.
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