研究課題/領域番号 |
15K12070
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
湯治 準一郎 熊本高等専門学校, 機械知能システム工学科, 准教授 (80332104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人工皮膚感覚 / サーミスタ / 静電容量 |
研究実績の概要 |
温度センサとして用いられているサーミスタとそのリード線のみを利用し,その電気的パラメータの要素を主成分とする極めて単純な構成の触覚デバイスを作製(センサ化)し,皮膚に分布して複数の皮膚刺激に応答するポリモーダル受容器のように,単一素子でありながら,触圧,温冷等の複合情報を取得することを目的とする.本研究は,申請者がこれまで行ってきた触圧と温度の同時センシングの考えに基づき,サーミスタと電気的パラメータを組み合わせた単一センサ(インピーダンス)素子による融合センシング手法の構築,および人工皮膚に組み込んだ人工指を製作し,実際の対象物への接触動作による実験的評価を実施する. 本研究では,センサ素子を2導線2端子とし,先端にサーミスタを接続した構成によるポリモーダル型単一センサ素子の提案を試みる.この素子に力や熱刺激が加わると,電気インピーダンスが変化するというものである.平成28年度は,昨年度からの引き続きで実際にセンサのプロトタイプを試作し,動作の検証を行った.しかしながら,実際の素子では位相の変化が極めて小さく,同期検波方式を用いても有効な電圧信号が得られなかったため,サーミスタ素子の構造をそのまま利用し,素子周辺の媒質空間の変形を利用する静電容量変化方式を検討した.その結果,媒質として水を用いることで格段に静電容量の変化が生じるため,本手法が微小な接触力検出に有効であることが確認できた.また,アナログスイッチを用いて検出回路の構成を切り替えながら2つの出力電圧を得ることにより,サーミスタの温度変化による抵抗変化と周囲媒質の変形による静電容量変化を取得する方式をシミュレーション上で確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
既存のサーミスタ素子,回路部品を用いたプロトタイプの場合,リード線インダクタンスの効果的な変化を生じさせる構造および製作が困難であり,更に目標とする周波数範囲において,その微小変化の検出を実現することにも困難が生じたため,予定よりも遅れている.実験で有効性を確認できる段階に至らなかったことから,これまで行っていた検出原理の見直しを行い,実証できる構造のセンサおよび検出方式に変更した.
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今後の研究の推進方策 |
リード線の変形を利用する方法では,実証が困難であるため,サーミスタ素子の静電容量変化を利用する方法で展開する.これはサーミスタ周囲の媒質空間の変形を新たに利用することで,力検出への感度を高める方式である.これは,既存の材料で構成でき,かつ検出回路も以前に比べてシンプルになる利点がある.サーミスタをこのような目的で利用した例はなく,新規性が十分見込まれる手法である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の執行が少なく,消耗品の購入も予定より少なかったため残金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
主に,各種機能実現に必要な電子部品やセンサ材料の購入や素子の製作費に使用する.他には.成果発表および研究打ち合わせのための旅費,実験補助およびデータ整理のための謝金に使用する.
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