(1)ホログラム表示光学系の小型化:平成27年度に前倒しで開始したホログラム表示光学系の小型化の研究を完成した。特に、共役像とゼロ次光の除去、シースルー化を実現した。これをもとに、将来のHMD型としての実現の可能性について検討した。また、光学系の小型化の方法として、光の空間伝搬をホログラム計算に含める方法を提案したが、これに対応したホログラム計算プログラムを作成し、提案法の有効性を示した。 (2)乱視への対応:提案法は、乱視、特に不正乱視の人に対しても画像情報を提示できる。このことを、実験で検証した。正乱視の目をシリンドリカルレンズを手前に配置したカメラで模して、画像提示できることを確認した。次に、不正乱視を複数のシリンドリカルレンズを傾きを変えて手前に配置したカメラで模して、画像提示できることを確認した。 (3)白内障への対応:ホログラムを用いた波面制御により、マクスウエル視の集光点の位置を水晶体の白濁位置以外に配置することで、白内障の人に対しても画像提示を可能にした。白内障の目を水晶体の白濁パターンに見立てた白パターンを印刷した透明フィルムを手前に配置したカメラで模して、画像提示できることを確認した。 (4)テイラードな表示の検討:観察者が、参照画像を見ながら参照画像を表示する波面を操作することで、自らの目の屈折状態に合った表示状態を実現できるか検討した。その結果、ドットパラーンによる度数補正、放射状ラインパーンによる乱視度数の補正、さらに、レンズアレイの位相分布による波面補正などを組み合わせることで、テイラードな表示が実現できる可能性があることを示した。
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