本年度は昨年度に引き続きハンガー反射の実応用に関する研究を行うと共に,ハンガー反射の機序に関する原理的考察を行った.まずハンガー反射による歩行誘導に関して,昨年度までに作成した空気圧バルーンを用いた制御装置の評価実験を実施し,明瞭な歩行誘導が可能であること,およびその誘導量は教示内容に強く依存することを示した. ハンガー反射の機序に関しては,意識状態がハンガー反射の生起に関連するかを調査した.その結果,睡眠時にはハンガー反射の生起が抑えられることが明らかとなった.このことは,ハンガー反射が一度力覚を意識下で知覚したうえで運動が生起しているという可能性を示唆する結果であると言える.またハンガー反射を生起しやすい皮膚変形の物理量を明らかにするために,人の頭部と同じ形状の弾性体を用いた触覚センサを作成した.これをもちいてハンガー反射の主観量と皮膚変形の物理量との関係を観察した.
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