研究課題/領域番号 |
15K12081
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 英之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70335206)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テレプレゼンス |
研究実績の概要 |
ソーシャルテレプレゼンスとは遠隔地にいる人とあたかも同じ部屋にいると感じる感覚であり,遠隔会議で対面会議を代替する際に重要となる.これまでのソーシャルテレプレゼンスの研究は,ビデオ会議システムをいかに拡張するべきかを探るという方針で様々な試行錯誤を繰り返すことによって,相手が自分の正面にいる状況の再現を目指してきた.そのため,それらの研究で開発された会議システムでは,常に正対の位置関係にある対話相手との間にディスプレイ面という仕切りが存在する.これに対して,相手の映像を自室の映像に重畳表示するミラー型ディスプレイではこのような仕切りが無く,相手と隣同士に座っている様子を鏡越しに眺める状況が再現されるために空間共有感が増す可能性がある.しかしながら,相手が隣にいるという幻想を持ち得るのは正面を向いて鏡(の役割を担っているディスプレイ)に注意を向けている間だけであり,実際に隣を見てしまうと相手がいない(映像すら無い)ために空間共有感が消える.そこで本研究では,隣に座っている(ことになっている)相手を直接的には眺められないように2人の間に衝立を置き,さらに,それによって空間共有感が薄まってしまうのを防ぐために,衝立越しに気配を伝えることを試みた.具体的には遠隔側にある椅子や机などのオブジェクトと同じものを衝立の向こう側に置いてアクチュエータでロボット化し,相手が着席などの動作を行った際にそのオブジェクトの動きで音や振動を再現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
遠隔地にある椅子などのオブジェクトと同じものを衝立の向こうに置いてアクチュエータでロボット化し,対話相手が着席などの動作を行った際に生じる音や振動をオブジェクトの動きで再現し,気配として衝立越しに伝えることの効果を明らかにした.それによって,朝日新聞朝刊(2015年6月11日大阪本社版),HRI2016(採択率25%),情報処理学会論文誌の論文3報(うち一本は推薦論文)などにおいて成果発表を行うとともに,第29回人工知能学会全国大会における全国大会優秀賞,情報処理学会インタラクション2016におけるインタラクティブ発表賞(一般投票)を受賞した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた長椅子をロボット化する研究と同様の方法で机や机の上に置かれた小物をロボット化し,衝立を挟んで左右に並んで座っている感覚を最大限にまで高めることに挑戦する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに執行したが,一部安価で購入できた物品があり,少し残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度に,消耗品の購入に充てる予定である.
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